合成ダイアモンド – こうして鑑別される

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合成ダイアモンド – こうして鑑別される

天然ダイアモンドと合成ダイアモンドは鑑別可能だ。

合成ダイアモンドと承知して消費者が購入する分には、何の問題もない。消費者に選択肢が増える。良いことである。

ただし、天然として合成ダイアモンドが販売されることがあるならば、大問題だ。宝飾品やそれを販売するジュエラーの信頼が失墜する。

その意味で、合成ダイアモンドが天然石として販売されることはないのか?この疑問に応えることは大切なことといえる。

今回、AGTジェムラボラトリー※にご協力をいただき、同社においてどのようなプロセスを経て合成ダイアモンドをチェックし、天然ダイアモンドとして流通することがないように鑑別されているのかを取材させて頂いた。

ピンクやブルーなど有色の合成ダイアモンドも鑑別可能だが、本稿では無色系の合成ダイアモンドの識別方法について記す。

AGTではソーティング(※2)やグレーディング・レポート(いわゆる鑑定書)の発行を行っており、毎日多くのダイアモンドが持ち込まれ、また引き取られていく。

同社を経由するすべてのダイアモンドは、合成石ではないか、あるいは処理石ではないかのチェックが行われている。顧客からの依頼があって検査をするのではなく、取り扱う全てのダイアモンドをもれなく検査する。同社に限らず、主要なラボは皆そうしているだろう。

合成石のチェック方法を記すのに先立ち、なぜ識別ができるのかを簡単に記す。

ダイアモンドは炭素が結晶化したものだが、炭素以外の元素も微量ながら不純物として含有されていることが一般的だ。この微量元素の種類、そして結晶格子中に微量元素がどのように分布しているのかによっていくつかのタイプに分類される。

★ダイアモンドはタイプに分類される※3

タイプI

窒素を含有するダイアモンド。
天然ダイアモンドの98%程度はタイプIに属するとされる。

タイプII 

窒素を含有しない(※4)ダイアモンド。
 無色系合成ダイアモンドはこのタイプ。

☆天然ダイアモンドのほとんどはタイプI

☆無色系合成ダイアモンドはタイプII

★検査の流れ

AGTでは、最初にダイアモンドの石目(重量)やサイズ、各部の角度などを計測する。

次に、GIAのDiamondCheckという検査装置を用いて、次の検査結果を得る。

  1. 未処理の天然ダイアモンド
  2. 天然ダイアモンド、合成ダイアモンド、天然の高温高圧処理ダイアモンドの可能性。さらなく検査が必要
  3. ダイアモンドではない

赤外線に対する光の吸収を調べ(赤外分光検査)、タイプに分類することで判定しているものと思われる。

ただし、DiamondCheckで検査できるのはD-Nカラーの範囲のダイアモンドのみ。

Nより下のカラーグレードのダイアモンドは赤外分光光度計(FTIR)や紫外可視分光光度計を用いて微量元素の含有量などを検査し、合成ダイアモンドに固有の特徴を調べる。

さらなく検査が必要とされたダイアモンドは赤外分光光度計やラマン分光測定装置を用いたフォトルミネッセンス分析(PL)で高温高圧処理(HPHT)や合成ダイアモンドに特徴的な構造上の欠陥などを調べて判断する。

また必要に応じてデビアスの開発したDiamondViewTMやGIA iD100を併用する。

さらに、AGTでは問題なしと判断されたダイアモンドも全て偏光板をセットした顕微鏡で拡大検査をしてタイプI特有の構造上の歪みを確認するという徹底ぶりだ。

私がラボで働いていた20年以上前、ハイテク機器といえばエネルギー分散型蛍光X線分析装置や赤外分光光度計、紫外可視分光光度計だけだったが、現在では多くの処理石、合成石の登場に合わせてさまざまな高価な装置なくしてラボ稼業が成り立たない。またそれらを使いこなすための知識のキャッチアップも大変なことだろう。

今まで説明したとおり、日本国内ではAGTをはじめとするラボを経由したダイアモンドは徹底した検査が行われており、合成石や処理石が見逃されることはないので安心してほしい。

ただし、ラボを経由しない小さな石については注意が必要だ。消費者としてできる自衛手段は、信頼のできるジュエラーから購入することだろう。よく言われるのは「ジュエリーにバーゲンなし」。高価なジュエリーには高価になるだけの理由があり、安価なジュエリーには、やはり安価になる理由があるのだ。その理由とは使用されている宝石の品質や加工にかける時間といったもので、テレビやパソコンの画面で見ただけでは区別ができない部分となる。

AGTでの作業の様子

※:株式会社AGTジェムラボラトリー
国内主要宝石鑑別機関18社が加盟する一般社団法人宝石鑑別団体協議会(AGL)会長、土居 芳子が代表取締役を務める名門鑑別機関。
1971年に発足した日本宝石鑑別協会が前身。
以前は関連組織にGIA JAPANがあって多数のGG、ジュエリーデザイナーを輩出していたが、GIAがフランチャイズ方式をやめて直営で宝石学教育に乗り出したことでその役目を終えている。

東京都台東区東上野 2-1-13 東上野センタービル 4F
電話:03-5830-6732

※2:ソーティング
レポートは発行しないものの、グレードを判定しダイアモンドを入れた小さなビニール袋に結果を記す。

※3:ダイアモンドはタイプに分類される

I : 窒素を含有する

Ia : 窒素が集団で分布している

IaA : Nペアと呼ぶ集団様式を呈するもの

IaB : 格子欠陥を囲む形で窒素元素が集団を形成(4N+V)

Ib : 窒素が孤立した状態で分布している

II : 窒素を含有しない

IIa : 不純物なし

IIb : ホウ素を含有する

※4:検査機器が発達し、ごく微量の元素でも検知できるようになった現在、タイプIIは完全に窒素が含有しないともいいきれないケースもある。

協力:株式会社AGTジェムラボラトリー
代表取締役社長 上杉 初

敬称を略しました。

文責 福本修

福本への連絡はこちらより

2019-08-31T19:46:19+00:007月 15日, 2019|ダイヤモンド ニュース, 合成ダイヤモンド|

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