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平成16年11月 9日

ホワイトゴールドに関する報告書

社団法人 日本ジュエリー協会
技術部会

経 過

 近年、ホワイトゴールドは急激に国内宝飾市場に白色の金合金として認知され普及してきました。しかし、この間、パラジウムの暴騰、ニッケルアレルギー等に起因する色調や成分など種々の問題が生じ、消費者からのクレームが増えてまいりました。

 この問題に対し日本貴金属製鎖工業組合(以下JPC)はWGの定義委員会を設置し、一年あまりの調査研究の結果を、平成15年 5月27日付けでJJAに資料を添えて提言書(添付)として提出されました。

 この提言を受け、JJA技術部会(第三分科会担当)で調査研究を継続してまいりました。以下、その結果を報告致します。

●ホワイトゴールドの問題点

 国内におけるホワイトゴールドに関する問題点は次の2点です。

  1. ホワイトゴールドの割り金としてニッケルの使用が禁じられていると言う風評と、正しい金属アレルギーの情報不足。
     
  2. 有色の金合金を用いた製品にロジウムめっきをおこない、ホワイトゴールドと称して販売されている。


ニッケル含有貴金属の使用に関する指針

  1. ピアスイヤリングや体に穴をあけて用いる装身具のポストアッセンブリーにはニッケル含有貴金属を使用しないものとする。
     
  2. 上記以外におけるニッケル含有貴金属の使用は制限されない。
       
  3. ニッケル含有貴金属を使用する場合、金属アレルギーの原因物質が含まれている旨を顧客に通知する。またコバルト含有貴金属においても同様とする。

[注記]

  1. この指針を作成するに当っては「ニッケルに関するヨーロッパ指針」(後述)を参考にした。
     
  2. この指針は日本国内において適用される。ニッケルに関するヨーロッパ指針(後述)を批准し実施している国に対して輸出するジュエリー、アクセサリーはヨーロッパ指  針に定める基準に合格したものでないと認められない。
ジュエリーを製造・販売に携わるものは、ニッケルなどの金属アレルギー原因金属について、正しい情報を消費者に提供することに努めて下さい。またJJAが製造物責任法にかかわって発行した通知書(平成7年4月)にもとづいた、「注意表示シール」の利用や、顧客への書類による通知、PL保険の活用等を図って下さい。

[ニッケルの使用合金の現状および問題点]

(1)ニッケルアレルギーに関する誤解

ニッケルが原因によるニッケルアレルギーを防止するために、ニッケルを含む合金の使用時には注意が必要である。製造物責任法にかかるJJAの解説の、「貴金属装飾  品の肌に触れる部分に、ニッケルを合金として含む貴金属合金を用いないこと、ニッケルめっきを行わないことが望ましい。」と発表したが、詳細な説明が不足したために業界に誤解や過剰反応を生じさせた。(この解説はヨーロッパ諸国が採用しているニッケルに関するヨーロッパ指針を参考にしたもの)

(2)「ニッケルに関するヨーロッパ指針」(概要および解説は後述)

ヨーロッパ諸国が採用している「ニッケルに関するヨーロッパ指針」では、ピアスポストアッセンブリー以外で直接肌に触れる部分の製品についてのニッケル含有貴金属の使用については、ニッケルイオンの放出量が一定の基準以下であれば、その使用は認めている。

(3)ニッケルの使用合金の現状および問題点

ヨーロッパでは、「ヨーロッパ指針」を批准し実施している国が多く、ヨーロッパ国内では基準に応じた貴金属製品が製造販売され、同時に輸出されている。ヨーロッパ指針は合金のニッケル含有率ではなく、合金のニッケル溶出量の規制であって、ピアスの用途以外についてはニッケル合金そのものの使用を禁止している訳ではない。
 
したがって、ニッケルを含むホワイトゴールドが日本に多く輸入されている事実は以前から指摘されていた。
 
技術部会では市場において購入したヨーロッパからのホワイトゴールド製品を分析し品位検査した結果、多くの製品にニッケルが5〜7%含有されていることを確認している。また、これらの輸入製品の販売現場においては、製品にニッケルが含まれているという表示は一切ない。

(4)国内メーカーの対応

国内メーカーは「ニッケルの使用は望ましくない」とのJJAの解説の過剰反応により、ニッケルを含有しないホワイトゴールド製品を製造しており、価格的、品質的、色調において不利な条件での比較競争を強いられ、消費者を含めた市場においても不利益を被っている。また一部には、パラジウム割りホワイトゴールドのコストの高騰に耐えられず、明らかに黄色の金合金をめっきにより表面を白色とし、ホワイトゴールドと称した製品が出回わり、消費者問題になりつつある。

(5)国内の他業界の動向

他の業界ではニッケルを含む合金は依然として一般的に広く使用されている。ニッケルは白色性、硬度、切削性、バネ性、耐食性などに優れ、ニッケルを含む素材としてはステンレス鋼、ニッケルシルバー(洋銀)、形状記憶合金(超弾性合金)、ニクロム素材、サンプラなどが生産され、硬貨、食器、調理器具、歯科材料、手術用材、時計、眼鏡、刃物、衣料部品、家具、文具、車両等に広く使用されている。
 
技術部会ではこれらの業界でのニッケル含有金属の使用実態調査をおこない、多くの業界はニッケルアレルギーを認識しつつも、ニッケルの特性上今後とも使用を継続するとのアンケート結果を得ている。ただし、輸出が多い時計業界、眼鏡業界では国内でもヨーローッパ指針を採用する傾向にある。

[ニッケルに関するヨーロッパ指針]

 ニッケルに関するヨーロッパ指針の概要を以下に示す。


     ヨーロッパ指針 ( European Directive Annex 94/27/EC )(一部)

1)耳や、人の体のそれ以外の部位にピアスをするために体に穴をあけることによって出 来た傷が上皮化しない間は、ピアスをすぐに外すかどうかに関わらず、そこに挿入されるポストアッセンブリーにはニッケルは使用しないものとする。但し、ポストアッセンブリーが均一な材質で作られ、かつ全質量に対しニッケルが 0.05%未満である場合を除く。

2)皮膚との直接かつ長時間の接触が想定される以下のような製品において、もしこれらの製品の肌に触れる部分からのニッケルの放出が、一週間に 0.5g/cm2を超えるならば、これらの製品にニッケルは使用しないものとする。

 ・イヤリング

 ・ネックレス  ブレスレット  チェーン  アンクレット  指輪  

 ・腕時計のケース  バンド  止め具

 ・リベット リベットボタン 締め金具 ジッパー メタルマークが衣類に使われる時 

3)上記 (2)に掲げた製品が非ニッケル被膜で覆われており、その被膜が通常の使用で少なく2年の期間において、一週間あたり 0.5g/cm2 を越えないニッケルの放出を十分確保できる場合を除き、これら製品にニッケルは使用しないものとする。

さらに、(1)、(2)、(3)の各商品は各項の要求に適合している場合を除いて市場に出さないこととする。


【解説】

A)(1)の意図は、ピアスをするためにあけた穴の傷が癒えないうちのニッケルを含む金属との接触を避けることで、ニッケルアレルギーに感作する機会を避けようとするものである。ここで上皮化とは、ピアッシング後の穴が前後から表皮で覆われ完全に癒合される事をいい、条件によって異なるが、上皮化には概ね1ケ月を要する。

B)ポストアッセンブリーという表現は、ピアスポスト及び耳の穴に接する部分全てをいう。ポストアッセンブリーには、ピアスが装着され固定された時に肌に接触している部分だけでなく、装着時に耳の穴を通過する部分や、装着後にピアスを保持する部分で耳の穴の内部または入り口付近で耳と接する部分も含む。つまり傷の部分に触れる可能性のある部分全てという解釈である。

C)(2)の解釈は、ヨーロッパではポストアッセンブリー以外で、かつ皮膚との直接かつ長時間の接触が想定される製品においては、定める溶出範囲を越えない限りニッケル含有金属は使用を禁止されていない、ということである。また、皮膚との直接かつ長時間の接触とは、装身具で言えば肌に触れて装着するネックレス、指輪等を指す。

D)皮膚との直接かつ長時間の接触が想定されない製品については、問題にされていない。

[注]

(1)ニッケルに関するヨーロッパ指針では、体や耳に穴をあけた後の穴の前後の表皮が上皮化するまでは、ポストアッセンブリーにニッケル含有金属の使用を禁止している。  しかし、上皮化以前と以後において、ピアスイヤリングの使い分けは実際には困難と  思われるので、JJA指針ではポストアッセンブリーへのニッケル含有素材の使用は一律に禁止とした。

(2)同指針に、「一週間あたり 0.5g/cm2 を越えないニッケルの放出を十分確保できる場合を除き」という表現があるが、これは100%完全にニッケルを除去することは不可能との学識者の意見を考慮したものであり、通常はこだわる必要のない条件と思われる。

[金属アレルギーに関して]

ニッケルによる接触皮膚炎(金属アレルギー)は多くの報告例がある。また、パッチテストによる陽性反応は水銀についで第2位を示す。しかし、実際にはニッケルを含め、多くの金属アレルギーが報告されており、水銀、コバルト、クロム、錫や、発症率は少ないが、亜鉛、銅、モリブデン、イリジウム、鉄、インジウム、鉛などのほか、金、白金、パラジウム等の貴金属さえも発症例がある。白金に含有するコバルトは、パッチテストにおいてニッケルに次いで高い陽性反応を示す。一般にはあまり認識されていないが、コバルトでもニッケル同様に金属アレルギー発症の惧れが強い。

また市場には、ニッケルを含まない金属(ニッケルフリー)は安全であるとの表現や、ニッケルフリーの表示刻印(NF)をときおり見かけるが、この表示には誤解を生じさせる惧れがあるので十分注意する必要がある。

その他、金属によるアレルギーのほか、化粧品、洗剤、ゴム製品、皮革、ナイロンタオルなどによる接触皮膚炎の発症例が多い。詳細は厚生労働省が毎年発表している生活用品による健康被害報告書が参考になる。

また指輪で金属アレルギーが発生したと思い込んだ消費者が、実際には金属アレルギーが原因ではなく、指輪を着用したままで除草剤や洗剤を使用したためにアレルギーが発生したことが判明した例も報告されている。ジュエリーで発生するアレルギーが全て金属に起因するものであるとは限らないことも知っておくべきである。

更に、金属アレルギーを研究しているある皮膚科の医者から、接触皮膚炎として来院する患者のうち半数は他の原因であるとの報告がある。

[ニッケルイオンの放出(溶出)基準の試験について]

ヨーロッパ指針に基づいたニッケルイオンの放出(溶出)基準の試験については、日本国内ではまだ限られた機関でしか行われていないようである。また、溶出試験方法の複雑さ、最先端技術の高額な試験機器の必要性、試験結果の安定性、規制溶出量の根拠などに問題があるとの指摘もあり、さらなる調査も必要である。今後技術部会では関係機関と試験方法の有効性、具体化、等について協議を進める予定である。

なお、参考までにヨーロッパ指令に基づくニッケル溶出量の試験を行うことが可能な機関を以下に示す。

 【参考】

(株)コベルコ科研 東京都品川区北品川5-9-12 北品川ONビル5F 電話03-5739-5031

[ニッケルに対する今後の対応]

人の健康を護るために設定された「ニッケルに関するヨーロッパ指針」は、理論的には大変優れた基準であると思われる。特に、ニッケルを含む合金であってもニッケルイオンの放出(溶出)が一定基準以下であれば使用に問題がないとする解釈は、極めて合理的と考える。したがって、今回のJJAの指針はこのヨーロッパ指針を参考とし、国内のニッケル使用について、より現実に即したものにした。ただ輸出が多い時計業界、眼鏡業界もこの指針を国内でも採用する傾向にある。日本の場合はニッケル規制の基準が存在しないこともあり、各国のニッケル規制等の研究、国内の他の業界の動向、厚生労働省の見解等を監視し、国内に適した環境整備に努める必要がある。

以上


※この内容は社団法人日本日本ジュエリー協会が会員に発表したものを、同技術部会の協力によって掲載した。

                      


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