▼ INDEX 1.大掃除には気をつけよう! 2.安定性とは 3.宝石材とは 4.宝石学Q&A 5.お知らせ …………………………………………………………………………………… ◆1.大掃除には気をつけよう! ∝∽∝∝∝∽∝∝∽∽∽∽∝∽∝∽∝ 師走が迫って参りました。そろそろ大掃除を、なんて考えていらっしゃ る方もおられるかと思います。「宝石学と関係ないじゃないか!」とい うお声も聞こえてきそうですが、今回は、大掃除の際に気を付けたい宝 石の安定性について少々。 ある種の宝石は、酸を含む洗剤に耐える事ができません。例えばトイレ 用洗剤のサンポール。養殖真珠、珊瑚、マラカイト、ロードクロサイト アラゴナイト、カルサイトなど、炭酸塩と呼ばれる物質にサンポールが つくと、シュワシュワと発泡し(注:音は聞こえません)、ゆっくり溶 けます。万が一ついてしまったら、可及的速やかさで水洗いしましょう。 コーヒーに入れた角砂糖のように体積が減るほどではありませんが、表 面が溶解によりミクロレベルで凸凹になるので、艶(光沢)が落ちてし まいます(もっとも養殖真珠のネックレスをして大掃除をする人はいな いでしょうけれど)。宝石以外でも、大理石(カルサイトの集合体)の 玄関、テーブル、灰皿も同じです。 *サンポール関係者の方がおられましたら、悪者のように書いてしまっ  た事を平にご容赦下さい。しかし、私も累計で50本位は買っている、  自称優良ユーザーなのです。  <(_ _)>  ←九龍さんに教えて頂きました。有り難うございました。 ☆∽∝∽★∝∽∝∽∝☆∝∽∝∽∝∽∝☆∝∽∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽☆ ◆2.安定性とは ∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽∽∝∽∝∽∝∽∝∽∽∝∝∝∽ 酸などの化学物質や、温度変化に対する耐性を[安定性]といいます。 例えばダイアモンドの安定性は非常に高い。ガラスは加熱後急冷すると 割れる危険性が高いが、ダイアモンドは壊れない(液体窒素などを用い れば別だが)。この理由は、ダイアモンドを構成する炭素原子が共有結 合と呼ぶ様式で、強固に結合している事にあります。 なぜ壊れるのか? 普通の物質は熱により膨張する(水は違いますが。製氷皿をご想像いた だけるとお分かりの通り)。つまり原子間の距離が開く、という事です。 そしてさめると元の体積に戻ります。この収縮率が大きければ大きい程、 原子達の結束が乱れるので、壊れ易くなります。構造によっては縦方向 と横方向で伸び方が異なるので、なおさらその様な変化に耐え難くなる のです。ダイアモンドの場合には、隣接する原子同士が電子を共有し合 い、堅固に結合していて膨張率が極めて低いので、熱の変化に優れた安 定性を示すことになります。いわば隣り合う人同士が、互いの手首を握 り合っているような様子でしょうか。 余談ながら、水晶(無色透明なクオーツ)を加熱後冷たい染料の中に入 れると、無数のヒビができます。ヒビができた瞬間そこは真空であり、 毛細管現象により染料がヒビの中に入り込む。結果として、緑の染料な らば緑の石のように見える。このようなヒビの入れ方を[急冷ヒビ入れ] あるいは[クエンチ クラックリング](quench-crackling)と呼びます。 ☆∽∝∽★∝∽∝∽∝☆∝∽∝∽∝∽∝☆∝∽∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽☆ ◆3.宝石材とは ∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽∽∝∽∝∽∝∽∝∽∽∝∝∝∽ ほとんどの宝石は鉱物ですが、養殖真珠やサンゴ、琥珀(こはく)のよ うに、有機質の宝石もあります。古くから用いられている鼈甲(べっこ う)製のかんざしなど、日本人が有機質材に親しんできたのは、自然と の共生を志した民族の性向を感じます。もっとも近年は、自然の征服指 向ばかりが眼に付きますが.... ともかく、次のようなものが有ります; ◎鉱物 ◎有機質物質 ◎岩石 これに加えて、人を欺くため、あるいは安価な代用品として、次のよう なものがあります; ◎人造石 ◎類似石 個別のご説明は、次号以降で取り上げたいと思います。 ☆∽∝∽★∝∽∝∽∝☆∝∽∝∽∝∽∝☆∝∽∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽☆ ◆4.宝石学Q&A ∽∝∝∝∝∽∝∽∝∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽∝∽∝∝ Q:バカボンのパパ 漫画などによく(?)出てくる「呪われた宝石」って言うのは、ホント に存在するのでしょうか? もしあるのなら、どんなイワクがあるのか 知りたいのですが・・・。 A: 漫画などに出てくる「呪われた宝石」についてはちょっと分かりかねま すが、宝飾業界で「呪われた宝石」といえば[ホープ]でしょうか。スミ ソニアン博物館にある大きな(45cts超)ブルーダイアモンドです。 カリナン(大きな無色のダイアモンド)とならんで世界で最も有名なダ イアモンドのひとつでしょう。 なぜ「呪われた宝石」と呼ばれるようになったのか?次のような曰くか らです。 ●定かではありませんが(証明する術はない)、ホープは、以前フレン  チブルーと呼ばれる67cts 超のダイアモンドだったのでは無いか、と  考えられています。フレンチ ブルーはタベルニエという貿易商がイ  ンドで求め、フランス王朝に販売したものですが、フランス革命のど  さくさの際、盗難に 遭い、それ以後の消息は知られていません。  このダイアモンドが後に再カットされ、今日[ホープ]と呼ぶダイアモ  ンドになったと多くの人が信じているのです。  さて、フランス革命の際に王朝の所有だったということは、当時唯一  その石を身につける事が出来たのはマリーアントワネットです。彼女  の運命は、といえば....ご存じの通りです。 ●フレンチブルー云々はともかく、この石の「呪われた」という評判を  決定的にしたのは、1911年にこの石の所有者となった富豪、エバリン  W マクリーンの人生です。  子供が自動車事故で死亡→夫と離婚。夫はその後精神に異常をきたす  →娘が自殺→彼女自身麻薬中毒に ☆∽∝∽★∝∽∝∽∝☆∝∽∝∽∝∽∝☆∝∽∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽☆ ◆5.お知らせ ∽∝∝∝∝∽∝∽∝∽∝∽∽∽∝∝∽∝∽∝∽∝∽∝∝ 今回から直送版を廃止し、まぐまぐに発信システムを1本化しました。 http://www.mag2.com …………………………………………………………………………………… 12月より、本誌に広告が入ります。あるいは本号より試験的に入ってい るかも知れません。まぐクリックというサービスに申し込んだのです。 購読者の方が広告をクリックすると私に広告収入が入る仕組みで、もち ろん皆様には一切料金などは掛かりませんので、ご理解をいただければ 幸いです。1〜2ヶ月間程度様子を見て、余りに見苦しいようでしたな ら、元に戻します。 …………………………………………………………………………………… Picked up Newsは休みました。 ☆∽∝∽★∝∽∝∽∝☆∝∽∝∽∝∽∝☆∝∽∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽☆ ◆メールマガジンご紹介 ∽∝∝∝∽∝∽∝∽∝∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽ 読者の方の中には宝石の買い付け、仕入れなどで旅をする機会に恵まれ ている方も多いのでは。ホテルについての情報収集に役立つメールマガ ジンを見つけたのでご紹介します。 [ホテルに行こう!] http://business.millto.net/~hisashi/index.html …………………………………………………………………………………… ■ご意見、ご感想、ご質問などお待ちしています!  宛先 ofukumot@yk.rim.or.jp  ご意見などは、極力紙面に反映させます。  ご連絡いただいた内容は、特におことわりを頂かない限り、当誌上で  編集の上、お名前(あるいはニックネーム)と共に紹介させていただ  く場合がございます。 …………………………………………………………………………………… ■[宝石学の世界] 7号 1999/11/24 ■Web site  http://www.yk.rim.or.jp/~ofukumot/ ■配信システム:『まぐまぐ』 ( http://www.mag2.com/ ) ■まぐまぐID:0000017866 ■受信アドレスの変更  mailto:mag2info@tegami.com ■購読解除  http://www.yk.rim.or.jp/~ofukumot/mag_cancel.html ■発行人:福本 修  mailto:ofukumot@yk.rim.or.jp ■(C)Copyright 1999 by Osamu FUKUMOTO. All Rights Reserved. ■記事を許可なく転載することを禁じます。 ……………………………………………………………………………………