▼ INDEX 1. ハウライト 2. 宝石の色因 -色中心- 3. 宝石学 Q&A - カラーチェンジ ガーネット - 4. Picked Up News …………………………………………………………………………………… ====広告================================================================== ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ☆宝飾専門電子商店街  あります!素敵な宝飾    ★ ジェムランド ★★☆ WWW.GEM-LAND.COM ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  。o ○。○o宝石オークション開催中。o ○。○ ========================================================================== ◆1. ハウライト ∽∝∽∝∽∽∽∽∝∽∽∽∽∽∽∝∽∽∽∽∝∽∽∽ 白い地色に蜘蛛の巣状の黒い筋。白いトルコ石といった風の宝石がある。 ハウライトという。 先日、コーヒーを飲もうと「新横浜グレイスホテル」に入った。狭い入 り口からエレベータ前を通り、途中にあった館内案内図で位置を確認し、 コーヒーハウスを目指す。奥は入り口と比べて、広々としている。天井 も高い。 コーヒーハウスはロビーの一角にあった。遠目に見ると、腰程までの高 さの白い敷居で区切り、観葉植物などを植えている。席を請おうと入り 口で待つ間、何気なく、ちょうど良い高さにあった球状の飾り石に手を 置いた。白い敷居の端にのっていたものだ。手を置いてから注意を払う と、その40cm程の直径の飾り石、そして敷居までが、ハウライト製 であることに気がついた。彫刻や装身具用に小さくカットされたものし か見たことがなかったので、とても新鮮で、思わず我を忘れて飾り石を 暫く撫でてしまった。 フッと我に返るといつも間に来たものか、コーヒーハウスの従業員が変 な顔をしてジッと私を見つめていた。 ▼ ハウライトの写真など:最近の更新項目より ▼ ◆2. 宝石の色因 -色中心- ∽∝∽∝∽∽∽∽∝∽∽∽∽∽∽∝∽∽∽ 光がなければそこは闇。色が見えるのは光あればこそ。では光とは何? 光の定義は人によって多少異なるけれど、ここでは目に見える波長の電 磁波(*)を光と呼ぶことにする。380〜780nmの波長である。 これは水晶体がその前後の電磁波を吸収するため。 通常の光に色はない。これを白色光と呼ぶ。 白色光は、紫、青、緑、黄、橙、赤などの色光が合わさったもの。色光 がバランス良く混ざり合っていれば無色、つまり白色光であるけれど、 物質にぶつかり、色光がアンバランスに吸収されれば色づいて見える。 例えばダイアモンド。 窒素不純物により紫〜青の光が吸収されれば、 その補色である黄色味を帯びてくる。 光をアンバランスに吸収するもの、それが色因だ。今回はその内のひと つ、色中心(カラーセンタ)について記す。 色中心とは、結晶構造上の欠陥の事。結晶とは原子が規則的に配列した 様を云うけれど、有るべき位置に然るべきものがない場合、つまり欠陥 がある場合、その欠陥自体がある種の色光を吸収する原因と成り得る。 先に述べたように、不均一な色光の吸収が生じた場合、色、または色の 変化が生じる。 例えば、スモーキー クオーツ、マシシベリル(濃い ブルーのベリル)が当てはまる。 色中心は、人工的に作り出すこともできる。粒子(電子や中性子など) を結晶にぶつけたり、あるいは強力な電磁波(ガンマ線のような)を 宝石に照射することで、その衝撃によって結晶格子に欠陥、つまり色 中心を作りだし、色に変化を生じせしめる処理がそれである。 結晶構造上の欠陥である色中心は、人の身体に例えて云うなら、外れた 関節の様な物。外れた関節は、骨接ぎ院に行くと、引っ張って直す事が あるそうだけれど、光や熱がこの「引っ張り」に相当するといっても、 まあ許されると思う。「欠陥が直る」→「色因が無くなり退色する」と なりやすい。 つまり、色中心が色因の宝石の場合、その色は安定性を 欠く場合も多い。 照射によるクンツァイトやオレンジ、及びイエロー サファイアはその典型だろう。 その他、安定性は前述の3石より格段に優れるが、照射による処理宝石 としては、熱処理も合わせて行うが、ブルートパーズ、処理ブルーダイ アモンド、処理ピンクダイアモンドなどがある。 (*)電磁波(Vol.10より) [電磁波]と書くと少々いかめしいのですが、特別なものではありません。 太陽や、照明器具からも放射されています。日焼けサロンで身体に照射 する紫外線(もちろん太陽光にも含まれていますが)も、また病院でお 馴染みのX線も電磁波です。波長により呼び名、性質が異なります。 ====広告================================================================== o。○o宝飾業界関係者様o ○。○o 。インターネットで仕入れをしませんか?o ○。o登録無料o。 ========================================================================== ☆∽∝∽★∝∽∝∽∝☆∝∽∝∽∝∽∝☆∝∽∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽☆ ◆3. 宝石学 Q&A - カラーチェンジ ガーネット - ∽∽∝∽∽∽∽ Q: 以前、宝石屋の展示会へ行った時のことなんですが、チェンジ カラー ガーネットのきれいなものが置いてあったので、店員さんに 「色が変わる所が見たい」 と頼むと、蛍光灯と白熱光のライトを交互に当ててくれて色がわりを見 せてくれました。しかし、私が自分でライトを宝石から15cmぐらい 離した所で色がわりを見ていたところ、店員から「強い光りを間近であ てると宝石が退色するので止めてくれ」といわれました。 この言葉が 疑問なんですが、強い光りといっても懐中電灯くらいの強さ程度の光り で宝石の質が低下するものなのですか?真珠のように有機物の宝石なら まあ理解できますけど、鉱物ならそんなにすぐに変化してしまうように は思えないのですが。それとも質の悪いものを売っていたのではないか と逆に勘ぐってしまったのですが。どうなんでしょうか? また、これと似たような話を友人から聞いたのですが、アレキサンドラ イトを光りに当てずにしまいっぱなしにしていると変色効果が弱くなる と宝石屋のお姉さんが言っていたそうなんですが本当でしょうか。 A: 仰る石は恐らく、最近多く流通するようになったマダガスカル産の変色 ガーネットの事でしょう。これはパイロープガーネットとスペサタイト ガーネットを中心とする固溶体(異なる成分が均質に混ざり合っている 物質)です。私も2週間ほど前20石程を手に取る機会がありましたが、 いずれも見事に変色し、驚きました。私も、貸していただいた強力ペン ライトでしつこく照らしましたので、 お話の店員さんが居られたら、 こっぴどくしかられたと思います(笑)。 さて、当該石の変色の原因は、恐らく、この石に相対的に多く含まれる バナジウム、もしくはバナジウムとクロムに因るものでしょう。高温で 熱処理すれば知れず、懐中電灯で照らして観察しても影響は無いという ことが出来ます。 ただ、宝石によっては、長時間強い光にさらすことで退色するものもご ざいます。これは前述の色中心が色因である宝石に相対的に多く見られ ます。宝石店の新入社員の中には、その様な事を研修中に習い、それが うろ覚えの為、お話のような事になる例が多いようです。 アレキサンドライトと暗所の関係については、なにやら生き物の様な変 化で夢がありますが、実際にはその様なことは有りません。 ▼ 関連項目:カラーチェンジ効果 ▼ ☆∽∝∽★∝∽∝∽∝☆∝∽∝∽∝∽∝☆∝∽∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽☆ ◆4. Picked Up News ∝∽∝∽∽∽∽∽∽∽∝∽∽∝∽∝∽∽∝∽∽∝ 自店をカスタム・ジュエラーとして鍛え、それによる差別化と優位性を 自らの努力によって獲得しようと志す宝飾店からなる『日本カスタム・ ジュエラー協会』(事務局長 高村 秀三) がジェムランド内にホーム ページを開設。同協会ではCADを使ったデザイン開発サービス、及び CADで起こしたデザインの光造形-インクジェットを使った原型製作 サービスを提供している。 …………………………………………………………………………………… ■ご意見、ご感想、ご質問などお待ちしています!  ご意見などは、極力紙面に反映させます。  ご連絡いただいた内容は、特におことわりを頂かない限り、弊誌上で  編集の上紹介させていただく場合がございます。お名前、mailアドレ  スは、特にご希望が無い限り掲載致しませんが、お名前をお書き添え  頂ければ幸いです。ニックネー ムも合わせてお書きいただいた場合  には、そちらは掲載いたします。 宛先: 福本 修   ご質問へのお応えは、業務上の必要や、個人的な興味からの疑問にお  応えするべく行っているものです。許可無く第三者への電子メールに  よる回答、公開に利用する事はお断りしております。必要な場合はそ  の旨ご連絡下さい。 …………………………………………………………………………………… ■[宝石学の世界] 43号 2000/08/29 ■Web site   ■配信システム:『まぐまぐ』  ■まぐまぐID:0000017866 ■受信アドレスの変更:旧アドレスは[購読解除]ページよりキャンセル  をしていただき、新アドレスをホームページより新規申し込みとして  ご入力下さい。 ■購読解除   ■発行人:福本 修   ■(C)Copyright 2000 by Osamu FUKUMOTO. All Rights Reserved. ■記事を許可なく転載することを禁じます。 ……………………………………………………………………………………