▼ INDEX 1. ハンブルグのアンティークショップ 2. ガラス充填処理 3. Picked up News -ダイアモンドの処理技術百花斉放 - …………………………………………………………………………………… ----広告-------------------------------------------------------------------- ●宝飾業界イエローページ登録受付中《《《《《《《《《《《《《《《《《《《《《 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ジェム−ランド━━━◆◇ http://www.gem-land.com/yellow_page/ ---------------------------------------------------------------------------- ◆1. ハンブルグのアンティークショップ ∝∝∝∝∝∝∽∝∝∝∝∝∝ *押し掛け特派員、私こと[たぬたぬ]が、宝石好きの素人として見たり 感じたヨーロッパをお伝えしている読み切り短期連載の最終回です。 - - - アムステルダムで大粒ダイヤモンドを手のひらにのせて満足した私たち (妹夫婦をいれた3人)。オランダを後にして、ハンブルグにやってき ました。最終回の今回は、当地のアンティークショップで過ごした一日 を通して、ヨーロッパのごく普通のアンティークショップの様子をお伝 えします。 - - - ハンブルグはずいぶん大きな街でした。日本企業もたくさんあり(主に 商社)、至る所で日本人家族を見かけました。 前日は、ホテルでもらった案内書でアンティークショップを調べました。 翌朝は勇んで早起き。私はアンティークジュエリーが好きなのです。そ れ程のコレクションは持っていませんし専門知識もないのですが、古い ジュエリーやら銀食器をみるとなぜかロマンを感じます。8時45分に は朝食を摂る間も惜しんでホテルを出ました。途中のマックで朝食を調 達し、レンタカーの中で食べながらいざ出陣! 私達は、まずアンティークセンターというところに行きました。そこは 小さなブース形式でワンフロアーにごちゃごちゃといろいろな人たちが 店を出しているところです。主には食器類、家具類で、一般庶民用アン ティークショップといった感じです。値段も手ごろですが、ジュエリー を買うとなると話は別です。私には見る目がない上に、お金もないので とても選ぶに大変でした。ある店に多くの種類のジュエリーがありまし たから、まずはそこから品定めです。戸棚を解放してもらって、座り込 みはしませんでしたが、じっくりと見させてもらいました。あまりこの 店では英語は通じません。まず、金製のブローチをいくつか見つけまし た。この中で一番目を引いたものをひとつ買いました。108マルク 1マルク=53円位)でした。重量感があったのと、打ち出し模様がつ いていたので、私はとても気に入りました。次に使用済パイプを見つけ ました。 パイプコレクターの父へのお土産に欲しかったのです。ひと つ8マルクと5マルクでした。2つで10マルクに値切って買いました (お父さん、安いお土産でごめんなさい。お餞別沢山もらったのに..)。 あとは、迷いましたが銀製のネックレスをひとつ買いました。これは、 まん中に大きなブルートパーズらしきものが付いています(店の人はア クアマリンだと言ったような気がしますが、私はブルートパーズだと思 います。何故か?専門的な判断ではまるでありません。でもアクアマリ ンって薄いブルーというイメージを持っているのですが、この石はとっ ても濃い青だったのです。福本さん、こんな判断はダメでしょうか..!?) 。またバロック真珠がひとつブラブラしています。更に周りにはダイヤ モンドらしきものが14石もあります。おまけにブルートパーズの上に はサファイヤらしきものまで付いているのです。これで値段は148マ ルクでした。最初に入った店での買い物はこれで良しと思ったのですが、 銀製のピアスもついでに買いました。 これはプラプラゆれる形のもの で、いわゆるアンティークらしさがでていたのでとても気に入れました。 耳に差し込む部分だけを取り替えれば実際に身につけられると思い、買 いました。その後モール内をフラフラ歩いているうちに「おなかが減っ てきた」と思ったら、いつの間にやらお昼でした。 昼食には近くにあった日本食レストランに入りました。「四季」という お店です。てんぷら定食、さしみ定食、寿司定食を頼みました。他のお 客さんはほとんどが日本人家族でした。妹夫婦同様このあたりに住む駐 在員の家族なのでしょう。 日本食をぺロッと平らげた後は、今度は別のアンティークショップ及び モールに行きました。今度のモールは高級品を扱っているという触れ込 みです。立派な門構えの一軒に入りました。"高級"というだけあってお いそれと手が出せる値段の物はありませんでしたが、さすがに宝石は大 きく、立派なものが使われています。日本でもアンティークフェアによ く行くのですが、そこでは買う事を考えると、かなりお値打ちかな?と 思いました。「今の仕事を首になったらアンティークジュエリーの買い 付け人で生計立つかしら」などと絵空語を空想しました。ここはどうや らオークションハウスも兼ねているようで、たった今オークションが終 わったばかりという雰囲気でした。 別の店に行きます。ウィンドー越しに見ると職人さんがゲシゲシと銀を 削っている店があったので、いそいそと入りました。英語が通じたので、 いくつか質問をした結果、ここはハンドメイドクラフトの工房をこの店 の2階部分に持っていて、作品は銀(925)と金(18金及び22金) そしてプラチナを扱っているという事を教えてもらいました。職人さん は「糸のこ」の様なもので、銀の薄い板を削って加工していました。そ んなことしているうちに3時になってしまい、最初のアンティークセン ターに戻ることにしました。土曜日なので早くに店じまいをしてしまう のです。午前中に行った時は5時までだと言っていたのに、今度行って みると30分後の4時には閉店だと言われて、慌てて近くの店内で再度 物色を始めました。最初の店よりいくらかこぎれいなところで、今度も またじっくりと品定めです。でも時間が無かったのが残念でした。最初 の店より欲しくなるものがたくさんありました。ここでは、1900年 頃の作品という金製の手作り打ち出し加工のペンダントトップを324 マルクで買いました。形は長さ6cm幅4cmのオーバルです。もうひ とつ、銀製ハンドクラフトのブローチも求めました。横長のもので長さ 6センチ幅1cmのものです。銀の細工は私の目にはとても美しく、ま ん中には直系1cm程のきれいな黄色のシトリン(と店の人がいってい ました)が入っています。これが83マルクでした。そのほか妹と二人 でこれがいい、いやこっちの方が..などとやっているうちに閉店の4時 となり、後ろ髪を引かれる思いではありましたが、店を後にしました。 以上が、恐らくヨーロッパの何処の町にでもあるであろうアンティーク ショップでの一日です。このメールマガジンの読者の方にはジュエリー が本職の方も多いのではと思い、読むに耐えない部分もあったかもしれ ませんが、お許し下さいね。宝石やアンティークジュエリーが好きな一 読者の視点ですから。なんと、面白いというメールもいくつかいただき ました。ありがとうございます。それを励みに、今度出張か旅行に行く ときにも臨時特派員を申し出ようと思ってますので、そのときまで、失 礼します。 [by たぬたぬ at オランダ mailto:tanutanu@gem-land.com] ☆∽∝∽★∝∽∝∽∝☆∝∽∝∽∝∽∝☆∝∽∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽☆ ◆2. ガラス充填処理 ∽∽∝∽∽∽∝∽∽∽∝∝∽∽∽∝∽∽∽∝∝∽ 先月友人のジュエリーデザイナーが、サファイアを持って遊びに来た。 5cts程度あり、スリランカ産として流通する典型的な色目をしている。 とても美しかった。その友人曰く、目の保養をさせたのだから、ついで に検査するのが義務だという。OK。別に断る理由もない。 結果は、天然サファイアで、熱処理とガラス充填処理が施されてあった。 石は御徒町の宝石問屋で買い、ガラス充填の事実は告げられなかったと いう。この手の例は珍しくない。つまり、皆さんもいつ遭遇しても不思 議ではない。 昨日公開したガラス充填の写真はこのサファイアです。 http://www.yk.rim.or.jp/~ofukumot/ ▲[最近の更新項目]よりリンク。 - - - 高価な宝石であるルビーやサファイアをカットする際には、原石の無駄 を最小限に抑えたいのが人情。アメシストやトパーズと比べてカットが 悪いルビー、サファイアが多いのはこの為だが、原石に穴が有った場合、 その穴を避けると大幅に無駄が増える事もあるだろう。そんな際、カッ ト後の石に穴が残されることを覚悟で加工を進めることもあろう事は容 易に想像が付く。残された穴にはしばしばガラスが充填され、穴は隠蔽 される。これをガラス充填処理という。 【問題点】 ・ガラスにもルビーやサファイアと同じ代金を払うことになる(多くの  場合、宝石の取引は1石いくらではなく、1ctあたりいくらで取り引  きされる)。 ・ガラスの融点はコランダム(ルビーやサファイア)より低い。加工時  直接バーナーの熱が加われば、充填部分が溶融する可能性がある。 ・加工時直接バーナーの熱が加われば、ガラス中の気泡が膨張し、充填  箇所が破損する可能性 がある。 ・ガラスの耐久性はコランダムより大幅に低いので、着用中に破損し易  い。 【検知法】 肉眼、またはルーペで十分検知できる。ガラス充填を示すヒントは ▼[最近の更新項目]より辿ると写真で説明されています。 http://www.yk.rim.or.jp/~ofukumot/ ☆∽∝∽★∝∽∝∽∝☆∝∽∝∽∝∽∝☆∝∽∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽☆ ◆3. Picked up News -ダイアモンドの処理技術百花斉放 - ∽∽∝∽∝ 昨年の今頃、ダイアモンド業界ではGEの処理ダイアモンドの話題が多く 語られた。一年を経過した今日、ノヴァに続き次々と新しい会社が処理 方法が発表されている。どれも真新しい技術には乏しいが、ここ最近の ものだけまとめてみた。効果や処理法はいずれも該当社のプレスリリー スによるもの。 ◇ファースト ダイアモンド グループ 【効果】 ・強い黄色、ブラウン、ブラック、グリーン、ブルー、ピンクといった  色にダイアモンドの色を変化させる。 ・ある種のインクルージョンのレリーフを変化させることで見かけ上の  クラリティを向上させる。尚、この処理ではフラクチャーフィリング  に見られるフラッシュ効果を伴わない。 【処理法】 ・高温、高圧、照射を組み合わせる。 ▼フラッシュ効果の写真 http://www.yk.rim.or.jp/~ofukumot/gem_encyclopedia/ha/flash_effect.html - - - ◇インカラー エンハンスド ダイヤモンズ 【効果】 ・グリーン、ブルーブラック、グリーンブラックにダイアモンドの色を  変化させる。 【処理法】 ・未発表 【特徴】 ・任意の強さの色目に出来る。 ☆∽∝∽★∝∽∝∽∝☆∝∽∝∽∝∽∝☆∝∽∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽☆ ∝∝∝∝∝∝∽∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝∽∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝ …………………………………………………………………………………… ■ご意見、ご感想、ご質問などお待ちしています!  宛先: 福本 修 mailto:ofukumot@yk.rim.or.jp  ご意見などは、極力紙面に反映させます。  ご連絡いただいた内容は、特におことわりを頂かない限り、弊誌上で  編集の上紹介させていただく場合がございます。お名前、mailアドレ  スは、特にご希望が無い限り掲載しませんが、お名前を添えてのご連  絡を希望いたします。名前を名乗らずコミュニケーションを図るのは  奇異な気がするのです。ニックネームも合わせてお書きいただいた場  合には、そちらは掲載いたします。 …………………………………………………………………………………… ■[宝石学の世界] 26号 2000/04/11 ■Web site  http://www.yk.rim.or.jp/~ofukumot/ ■配信システム:『まぐまぐ』 ( http://www.mag2.com/ ) ■まぐまぐID:0000017866 ■受信アドレスの変更:旧アドレスは[購読解除]ページよりキャンセル  をしていただき、新アドレスをホームページより新規申し込みとして  ご入力下さい。 ■購読解除  http://www.yk.rim.or.jp/~ofukumot/mag_cancel.html ■発行人:福本 修  mailto:ofukumot@yk.rim.or.jp ■(C)Copyright 2000 by Osamu FUKUMOTO. All Rights Reserved. ■記事を許可なく転載することを禁じます。 ……………………………………………………………………………………