▼ INDEX 1. アムステルダムのアンティークショップ 2. 合成トルコ石の鑑別特徴 3. 宝石学Q&A - キャッツアイ - …………………………………………………………………………………… ----広告-------------------------------------------------------------------- ★宝飾業界イエローページ登録受付中《《《《《《《《《《《《《《《《《《《《《 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ジェム−ランド━━━◆◇ http://www.gem-land.com/yellow_page/ ---------------------------------------------------------------------------- ◆1. アムステルダムのアンティークショップ ∝∝∝∝∝∝∽∝∝∝∝ 福本さんとこのメールマガジンを通じて知り合った私は、今回オランダ での国際会議への出張が決まったのを機会に、押し掛け特派員を申し出 ました。ご了承を頂いたので、以後数回に渡って不定期に、宝石と骨董 が好きな者の立場から見たヨーロッパについて記したいと思います。仕 事の関係で、あまり自由な時間はありませんが、アムステルダム、ハー グ、そしてドイツのハノーバー近くの小さな街で見たことなどをお伝え したいと思います。 名前は「たぬたぬ」とさせていただきます。福本さんはこの名前を相当 ニガニガシク思っていると思うのですけれど、インターネットの魅力の ひとつ、匿名性を楯に許して頂きました。いってみれば仕事時間中に臨 時押し掛け特派員をしている状態なので、御容赦願いたいと思います。 またメールアカウントもひとついただきましたので、ご意見などはそち らでお待ちしています。 私は宝飾業界とは関わりがないものです。でもアンティークジュエリー とかは好きなので、仕事の合間を縫いつついろいろな骨董店やらを巡っ てみたいと思っています。難しいことは福本さんが補足して下さるそう です。 まずは、アンティークショップについて。 アムステルダムの街中にアンティーク関係の店ばかりがある通りがあり ました。そこは偶然見つけたのですが、参考までに通りの名前をかいて おきます。 [Nieuwe Spiegelstaat]通りです。オランダ語なのでどう発 音していいのかわかりませんが。ここには高級アンティークのお店が多 くありました。16世紀ぐらいの地球儀やら、携帯用収納式顕微鏡とか。 この古ぼけた顕微鏡は実際に手にとってみました。ピントはあっていな いものの(合わせ方があるのかもしれませんが)、ちゃんと見えました。 無作為に選んだ一件の店、[Meulendijks & Scuil] の様子を記します。 品数はむちゃくちゃ沢山あって、とにかく狭い店の中がもので溢れてい ました。宝飾品としては銀製品が多く、状態はあまりよくありません。 日本で買うのに比べれば半額ぐらいではありますが、アメリカに比べれ ば高い気がします。まん中に1cm四方程のアクアマリン(色はとてもき れいでした)に小さいダイヤとなにか金属の石(*1)が入った銀製ブレス レットが日本円で約4300円程でした。悲しかったのはアクアマリン の脇の金属石がひとつ欠けていたことです。だから買いませんでした。 以前福本さんに質問させて頂いて、「欠けてたらどんな物でも商品とし てはだめです。」とアドバイスを受けていましたので。売るつもりは無 いのですが、やっぱり売り物にもならないものをコレクションに加える のは気後れしますものね。その他にも、石の入った指輪やら、金製ラピ スラズリのイヤリングがありましたが、日本円で約1万2000円程で した。もちろん価格交渉はできますが、あまりお買得感を味わうことは できませんでした。まあ、時間の関係であまりゆっくりとは見られませ んでしたが、次回オランダを訪れる機会があれば、この通りをもう少し じっくりウロウロしたいと思います。 さてさて、次はアムステルダムのダイヤの研磨工房に見学にゆきました。 私は素人なので、普通の観光客が入ることの出来る所です。ベルギーダ イヤモンドという言葉は知っていました。 だから本場はベルギーだと 思っていたのですが、地元の人にいわせるとアムステルダムこそダイヤ モンドの本家だそうで..。 次回の報告に続く。 [by たぬたぬ at オランダ mailto:tanutanu@gem-land.com] (*1)発行者注:ものは見ておりませんが、恐らく、マーカサイトと誤っ て呼ばれるパイライトの事を指しておられると思います。変な書き方で すがいずれ弊誌上でご説明します。マーカサイトもパイライトも金属光 沢を示す鉱物で、確かに金属石という表現は、なるほどと思います。 ☆∽∝∽★∝∽∝∽∝☆∝∽∝∽∝∽∝☆∝∽∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽☆ ◆2. 合成トルコ石の鑑別特徴 ∽∽∝∽∝∝∽∽∝∝∽∽∝∽∽∝∝∝ 天然石との鑑別の鍵は拡大検査。アンダーカッティング、クリームオブ ウィート、ブリーディング等の特徴が判断材料となる。 【アンダーカッティング】 メイトリクスの耐久性はトルコ石と比し劣る。故に研磨中、メイトリク (母岩。トルコ石の場合茶色〜黒の筋)スの部分だけが取れる、または 内側に削れる事がある。この結果、研磨石の表面、メイトリクス部には しばしば窪みがある。これをアンダーカッティングという。合成トルコ 石のメイトリクスは染色によるため、アンダーカッティングは生じない。 裸眼で判断できる。 【クリームオブウィート】 アメリカの一般的な朝食、シリアルの一種から名前が取られた。規則的 な小粒子が並んだ様を指し、合成石を示す指標。タピオカ効果ともいう。 X10ルーペで判断できる場合もあるが多くの場合顕微鏡が必要。 【ブリーディング】 合成トルコ石にメイトリクスがあれば、それは染色による。染料による 滲みをブリーディングと表現し、合成を示す指標。いわば半紙に滲んだ 墨汁を想像してもらえば宜しい。裸眼、または10倍ルーペで判断できる。 ▼クリームオブウィートの写真は最近の更新項目より http://www.yk.rim.or.jp/~ofukumot/ ☆∽∝∽★∝∽∝∽∝☆∝∽∝∽∝∽∝☆∝∽∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽☆ ◆3. 宝石学Q&A - キャッツアイ - ∽∽∝∽∝∝∽∽∝∝∽∽∝∝ Q: キャッツアイについて質問があります。 1)現在、アップルカラーとハニーカラーとではどちらが資産価値が高い  のですか? 2)また、底の部分は細工後気にならなければ、多少でこぼこしていても  逆に目の光りを守るという意味で研磨する必要はないと理解していい  でしょうか? 3)そして、キャッツアイを指輪に加工するにあたって、デザインでアド  バイスがあればお願いします。 4)それから、アレキサンドライトのキャッツアイというのを本で見まし  たが、現在どれくらいの価格で購入できますか?非常に希少なものと  いうのは本当でしょうか? A: ・キャッツアイクリソベリルについて 1)側面、シャトヤンシー(光の筋)に対しての垂直方向よりペンライト  などで光を当てると、シャトヤンシーを挟んで左右の色が異なって見  えます。このコントラストが美しいものが好まれます。それぞれの色  が蜂蜜色とミルク色(実際には牛乳に大量の黒砂糖を入れたような色)  にクッキリと分かれるものが好まれます(これをミルクと蜂蜜効果と  呼びます)。 2)底の部分の件、おっしゃる通りです。スター石もキャッツアイ石も、  底の部分は通常しっかりとした研磨はしません。ただ、研磨の状態と  は関わりがない話ですが、底はほぼ例外なく膨らんでいるものですが  これが膨らみ過ぎていれば注意が必要です。過度の膨らみは石留めを  困難にするだけでなく、真上から見た大きさには変わりがないのに、  重量だけが増加する、つまり【より重い重量=より高い値段】となる  からです。 3)デザインは全くお好み次第とは存じますが、私はシンメトリックなデ  ザインの方がキャッツを美しく見せる事が出来ると思います。 4)非常に稀少です。普通に流通するもので、満足のいく品質のものは滅  多に出逢いません。お目に掛かるのはそこそこに品質のものですが、  値段はとても幅があり、一概に申し上げられません。オークションで  の落札価格を参考に申し上げると、良質のもので、3cts(1ct=0.2g)  程度の大きさがあれば、1ctあたり1千万円以上の値が付く場合もあ  ります。 ☆∽∝∽★∝∽∝∽∝☆∝∽∝∽∝∽∝☆∝∽∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽☆ ∝∝∝∝∝∝∽∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝∽∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝ …………………………………………………………………………………… ■ご意見、ご感想、ご質問などお待ちしています!  宛先: 福本 修 mailto:ofukumot@yk.rim.or.jp  ご意見などは、極力紙面に反映させます。  ご連絡いただいた内容は、特におことわりを頂かない限り、弊誌上で  編集の上紹介させていただく場合がございます。お名前、mailアドレ  スは、特にご希望が無い限り掲載しませんが、お名前を添えてのご連  絡を希望いたします。名前を名乗らずコミュニケーションを図るのは  奇異な気がするのです。ニックネームも合わせてお書きいただいた場  合には、そちらは掲載いたします。 …………………………………………………………………………………… ■[宝石学の世界] 24号 2000/03/28 ■Web site  http://www.yk.rim.or.jp/~ofukumot/ ■配信システム:『まぐまぐ』 ( http://www.mag2.com/ ) ■まぐまぐID:0000017866 ■受信アドレスの変更  mailto:mag2info@tegami.com ■購読解除  http://www.yk.rim.or.jp/~ofukumot/mag_cancel.html ■発行人:福本 修  mailto:ofukumot@yk.rim.or.jp ■(C)Copyright 2000 by Osamu FUKUMOTO. All Rights Reserved. ■記事を許可なく転載することを禁じます。 ……………………………………………………………………………………