▼ INDEX 1.宝石学Q&A - ルーペ - 2.ピンセットあれこれ 3.Picked up News …………………………………………………………………………………… ◆1.宝石学Q&A - ルーペ - ∽∝∝∝∝∝∝∝∝∝∽∝∽∝∽∝∽ Q:学生さん 私はタイに行ってルビーを買ってから、自分でもルーペで見てみたい! と思うようになりました。 でもまだ学生で宝石鑑定士学校に行ったりなどの専門的なことは全く出 来ない状態ですし、とりあえず、いろいろな人が持っている宝石をルー ペでのぞいて見たいのです。何が見えるのか、ワクワクします! 来週にでもそのルーペを買いたいと思っているのですがどのようなもの を買ったら良いでしょうか?教えて下さい。そんなにいくつも持ってい てというものではないし、旅によく行くのでその楽しみもあるので何か きちんとしたものを買いたいなと思っております。 A: 宝石の内部は、人の顔と同じで、石ごとに異なった特徴があり、面白い ですよ! ◇レンズ トリプレットというレンズを用いたルーペである必要があります(通常 のルーペは皆トリプレットです)。これは、色収差及び球面収差を補正 したものです。虫眼鏡はレンズの端でものが歪んで見えますね。あれが 球面収差です。 ◇倍 率 10倍が一般的ですが、高倍率のものもあります。倍率が高い方が勿論 内部は大きく見えますが、視野(あるいは視界)深度が短い(つまり、 少しでも手がぶれると対象物が見えなくなります)ので、10倍のルー ペの方が良いかもしれません。10倍のレンズの場合、対象物との距離 が2.5 cmで焦点が合います。これは、健康な青年期の成人(近視や老眼 ではない)は、手作業をする際、眼より25cmの距離で作業をするのが最 もやり易いという研究結果に基づいたものです。 ◇色 シルバー、ゴールド、黒があります。カラードストーンを観察する場合 には、気にする必要は無いでしょう。ただ、ダイアモンドが対象で、仕 事にも用いる場合には、映り込み(宝石へのメタルの反射)を考慮する 必要があります。金色の場合、ルーペ越しに見た色目に影響します。黒 は、長年のうちには塗料が剥げてきますが、普通に使う分には問題あり ません。 ◇径 私は大きい方が好みですが、指の細い女性の場合、大きいと持ちに難い 場合があるようです。 実際にいくつか手にとって比較なさると良いで しょう。 ◇光のあて方 ルーペで宝石を見るときは、光のあて方が重要です。石の側面から光を あてた方が内部はよく見えます。屈折率が相対的に低い、シトリンなど の宝石を観察する際にはあまり気にする必要はないでしょうが、屈折率 の高い、例えばダイアモンドの場合、真上から光をあてると宝石の輝き で内部が見え難くなります。 光の入射角を微妙に変えながら観察するのがコツです。石を保持してい るピンセットを、ピンセットの長さ方向を軸に数ミリ単位で左右に回転 させたり、あるいは、腰から上を動かさないよう注意しながら、腰を曲 げ、上半身を上下にゆっくり揺する事で光の入射角を変化させます(こ の動きは端(はた)から見るとちょっと可笑しいのですけれど(^^;。 ◇メーカー メーカーごとにレンズの品質に違いがあるはずだと思うのですが、私に は違いが知覚できません。むしろ、どの様にルーペを保持する製品なの か、が私にとっての選考基準です。ルーぺーの一部に指を通して持つの か、あるいは親指と人差し指で挟んで持つのか、です。 実際に持って 比較なさると良いでしょう。 ◇変わり種 暗視野照明付きのルーペもあります。暗視野照明とは石の側面から光を あて、宝石の内部を見やすくするために考案された照明法で、多くの宝 石用顕微鏡に備わっている。このルーペはペンライトと一体型で、野外 においても暗視野照明を用いて宝石を観察できるように開発されました。 …広 告………………………………………………………………………… 今カタログをご請求いただいた方には、ムラノグラス(ヴェネチアの手 工芸ガラス)のペンダント(6000円相当)を抽選で3名様にプレゼント。 http://www.w-heartjewel.com ←ペンダントが当たる!! …………………………………………………………………………………… ☆∽∝∽★∝∽∝∽∝☆∝∽∝∽∝∽∝☆∝∽∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽☆ ◆2.ピンセットあれこれ ∽∽∝∝∝∽∝∝∽∝∝∽∝∽∝∝∽∝∝∽ ◇ 選び方 ……………………………… ◎先端部の細さ 先が針のように鋭く尖っているものから、何ミリもある太いタイプまで 様々ですが、はじめてピンセットを求める場合、ある程度以上の幅(3 mm程度)があった方が使いやすいでしょう。 ◎滑り止めの溝 宝石用ピンセットの内側には、石が落ち難いよう、滑り止めに細かな碁 盤状の溝が刻まれていたり、粗い紙ヤスリのような凹凸が施されていま す。あるいは、1本だけ縦に溝がある製品もあります。どの様な滑り止 めのピンセットにするかは好みですが、先端部が尖っている細身のタイ プで、碁盤状の溝が刻まれている場合には、ピンセットの縦方向の中央 に溝があるか確認することは重要です。あるメーカーのピンセットは碁 盤の目の四角の部分が中央に位置しているため、ピンセットの中央で石 を保持しにくく、使いにくいのです。 溝が深すぎて使いにくい時には、金属のヤスリで内側を削って使います。 ◎色 基本的にはルーペの色と同じ考えですが、ピンセットの方が直接石に触 れますから、黒の場合、塗料の剥げがより顕著になります。ただ、映り 込みは、シルバーより黒の方が少ないのですが、慣れればどうという事 はありません。 ◇ 素材 ………………………………… ステンレスが一般的ですが、チタン製もあります。チタン製ピンセット は柔軟性が高い為、石を掴んだ感覚が指先から、より鋭敏に伝わるので 私は好んでいます。ただかなり軽いので、ステンレスに慣れた方は最初 違和感があるかもしれません。 ◇ 種類 ………………………………… 普通にイメージするピンセット以外に、次のようなものがあります。 ◎真 珠 用  →先端が皿状に丸くなっている 。 ◎宝飾品用  →メタルを傷つけぬよう、先端がゴムで覆われている。 ◎ロック式  →裸石を掴んだ状態でピンセットの開き加減を固定できる。 ◎ルーペ一体型  →ルーペとピンセットの距離を調整、固定出来るため、対象物に焦点   をあてた状態で他者に見せるのに適する。 ◎先端がくの字に曲がったもの  →時計の修理や宝飾品加工時に用いる場合がある。 ◎固定式  →加工中の宝飾品を掴んだまま、台に固定できる。バーナーを用いる   際に使用する。 ◇ 困りものピンセット ……………… メレーダイアモンド(0.2ct未満のダイアモンド)用と謳われ,滑り止め を目的に、先端部内側にダイアモンドの微粉を塗布したピンセットがあ ります。あらゆる鉱物の中で最も硬いのがダイアモンド。粉とてその性 質は変わりません。これで宝石を保持すれば、無論影響があります。 同様の目的で、コランダムの微粉を塗布したものもあります。 ◇ 注意点など ………………………… 店先などで、購入予定の裸石をルーペで観察すると仮定します。まずは 石をピンセットでつまみ上げる事でしょうが、その場合、キューレット と呼ばれる尖った部分と、テーブルと呼ぶ大きな面とで保持してはいけ ません。ディーラーの多くはキューレットの破損を恐れ、嫌がります。 ダイアモンドディーラーの多くも例外ではないのですが、これは、私が 奇異に感じる事のひとつです。 もとから欠けかけているキューレット (テーブル越しに石を見れば分かります)の場合は知らず、ダイアモン ドはピンセットなどで傷つかないのですから。もちろん人の嫌がる事を しても仕方がありませんし、非常に内包物の少ないダイアモンド以外、 その様な角度で観察する必要もありませんからおとなしくガードルで持 ちますが。 ダイアモンドグレーディングを始めたばかりの方の多くは、最初、映り 込み(宝石へのピンセットの反射)を内包物と勘違いするものです。ご 注意あれ。 ☆∽∝∽★∝∽∝∽∝☆∝∽∝∽∝∽∝☆∝∽∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽☆ ◆3.Picked up News ∽∝∝∝∝∽∝∽∝∽∝∽∝∽∝∽∝∝∽∝∽∝ アーガイル ダイアモンド、1999年度の総生産量は2,970万ctsと発表。 これは、98年のおよそ73%に相当する。 ☆∽∝∽★∝∽∝∽∝☆∝∽∝∽∝∽∝☆∝∽∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽☆ 弊誌に広告をご出稿下さっている、ホールハート・ジュエリークラフト 様宛に、私宛のメールが届いているとの連絡を頂いております。私への ご用は、下記のアドレスまでお願いいたします。 福本 mailto:ofukumot@yk.rim.or.jp …………………………………………………………………………………… ■ご意見、ご感想、ご質問などお待ちしています!  宛先: 福本 修 mailto:ofukumot@yk.rim.or.jp  ご意見などは、極力紙面に反映させます。  ご連絡いただいた内容は、特におことわりを頂かない限り、弊誌上で  編集の上紹介させていただく場合がございます。お名前、mailアドレ  スは、特にご希望が無い限り掲載しませんが、お名前を添えてのご連  絡を希望いたします。名前を名乗らずコミュニケーションを図るのは  奇異な気がするのです。ニックネームも合わせてお書きいただいた場  合には、そちらは掲載いたします。 …………………………………………………………………………………… ■[宝石学の世界] 16号 2000/02/02 ■Web site  http://www.yk.rim.or.jp/~ofukumot/ ■配信システム:『まぐまぐ』 ( http://www.mag2.com/ ) ■まぐまぐID:0000017866 ■受信アドレスの変更  mailto:mag2info@tegami.com ■購読解除  http://www.yk.rim.or.jp/~ofukumot/mag_cancel.html ■発行人:福本 修  mailto:ofukumot@yk.rim.or.jp ■(C)Copyright 2000 by Osamu FUKUMOTO. All Rights Reserved. ■記事を許可なく転載することを禁じます。 ……………………………………………………………………………………