▼ INDEX 1.宝石とは 2.宝石学Q&A −カルセドニー1− 3.Picked up News 4.お知らせ:キーワードサーチ機能を追加 …………………………………………………………………………………… ◆1.宝石とは ∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽∝∽∝∝∝∽ 宝石とは、次の3つの条件を満たすものと言えます。 ◎美しいこと ◎稀少性があること ◎ある程度の耐久性があること ○美しさ  審美眼は千差万別。一概に美しさの基準は語れませんが、多勢が"美し  い"と認めるものは確かにあると思います。それらが、宝としての価値  ある石、宝石と呼ばれます。 ○稀少石  人は珍しいものに価値を認める性向があります。稀少性は、即ち価値と  もいえます。 ○耐久性  以前、岩塩の立方体結晶を手に入れました。それは美しく、原石のまま  ブローチに加工し得る外観では有りました。しかし、これはあくまで塩  の結晶ですから、雨に濡れれば当然溶けます。人は宝石に、永続的な美  しさを期待しており、この期待感が宝石の潜在的な価値要因のひとつで  あると言えます。故に、少なくとも日常の装身に耐え得る程度の耐久性  が条件となります。 ◆2.宝石学Q&A ∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽∝∽∝∝ 読者の皆様から寄せられたご質問にお答えします。 今回は、創刊号発行準備中に頂いた、類似のご質問を取り上げさせてい ただきました。 …………………………………………………………………………………… Q:大谷様  □e-mail:mtak@alles.or.jp(ご本人承諾の上掲載)  □プロフィール:貴金属宝飾品加工 代用宝石と言えば良いのでしょうか?例えばオニキスやカーネリアン、 カルセドニーなど、着色めのうが使われることが多いようなのですが、 それ以外にも代用宝石にはどのようなものが有るのか、またその違いや 見分け方など判ると、大変に有り難いのですが・・・。 申し遅れましたが、貴金属加工をやっている者で、宝石学は全くの 素人です …………………………………………………………………………………… Q:NAKASE JUNKO様 世間一般に呼ばれているオニキスについてなのですが... またタイのマーカサイトによくついているメノウについても詳しい事が 知りたいです。オニキスにグリーンやレッドなどの色もあるのでしょう か?グリーンアゲイドは、日本でいうところのメノウでいいのでしょう か?またカーネリアンは... …………………………………………………………………………………… A:福本 ご質問、ありがとうございました! 何号かに渡ってご説明いたします。 ◇予備知識◇宝石の分類;種と変種 (次号以降で改めて取り上げますが、ここでは簡単に) 宝石は、その宝石を構成する原子の種類等と積み重なり方(結合様式) によって、「種」に分類します。「種」は更に色などによって「変種」 に細分化されます。例えるなら、カラスという種の中で嘴(くちばし) の太さによって、ハシボソガラスとハシブトガラスという変種がある、 というようなものでしょうか!?(美しくない例えで恐縮ですが...(^^; ◆カルセドニー ……………………………………………………………… 和名:玉髄(ぎょくずい) 古代の遺跡発掘の記事などを読むと、しばしば碧玉(へきぎょく)製の 勾玉(まがたま)が発見された..等の記述が目に留まります。この 碧玉もカルセドニーの一種ですから、人は古くから、装身具としてこの 宝石とつき合ってきたことが分かります。 様々な色や模様で産出されるカルセドニーは、恐らくアクセサリ店で目 にする宝石の中で、最もポピュラーな宝石のひとつでしょう。 組成: この宝石の組成はSiO2。1つの珪素原子と2つの酸素原子から成ります。 これはクオーツと同じです。 構造: クオーツの微細な粒子が寄り集まった構造です。「集合体」と言えます。 *このような構造を持つ宝石は、割れ口の断面がざらざらしています。  ガラス製の模造石の場合には、割れ口はコーラ瓶の割れ口と同じく、  ツルッとしており、これをヴィトレアス光沢、あるいはガラス光沢と  いいます)。 オニキス、アゲート、カーネリアン、ジャスパー(和名:メノウ)は全 てカルセドニーの変種です。カルセドニーは多くの変種をもつ宝石で、 これ以外にもファイアアゲート、アイリスアゲート、ブラッドストーン サードオニキス、カーネリアンオニキス、クリソコーラ カルセドニー サード、デンドリティック アゲート、ミルキー カルセドニー、モス アゲートなどが有ります。 ご質問のあったグリーンのアゲートは、クリソプレーズという変種です。 ●カルセドニーの変種と処理など● ○オニキス○ オニキスは、2色以上の色を有し、色の境界面がほぼ平面であるカルセ ドニーを指す変種名です。色は通常白と黒またはグレイで、多くはカメ オに加工されます。ただ通常オニキスとして販売されている宝石は、黒 一色のカルセドニーですね。これは、正しくはブラック カルセドニー と呼ぶべきものです。 黒の部分は、通常染色によって得られた色です。オニキス中の成分を調 べる以外検知法はありません。廉価なカルセドニーの鑑別に成分分析の 費用はなかなか掛けられませんから、事実上検知不能です。プロフェッ ショナルとしての業者間取り引きにおいては、双方無言のうちに染色で あることを前提に行っている場合がほとんどだと思います。ただ、染色 の事実を知らない裸石業者が存在するのも事実です。 オニキスとの鑑別を間違え易いものは、黒い不透明の(人造)ガラスと オブシディアン(天然ガラス)位でしょうが、ある程度の技術を有する ジェモロジスト(宝石学の知識がある人)ならば、間違えようはありま せん。どのように間違えようが無いのかは、追々記したいと思います。 オニキス自体が他の宝石の模造石として、販売される場合もあります。 以前鑑別を頼まれた黒い石はカルセドニーでしたが、その方は、「黒い ヒスイ」と言われて購入したそうです。その方曰く、「やけに安かった ので怪しいと思った。」そうで、笑っておられました。 一回の送信であまり長くなると嫌がられそうですのでこの辺で... 他の変種は、次号以降でご紹介します! カメオに加工されたオニキスの写真 http://www.yk.rim.or.jp/~ofukumot/gem_encyclopedia/onyx.html ◆3.Picked up News ∽∝∽∝∽∝∽∝∽∝∽∝∽∝∽∝∽∝∽∝∽∝ フロリダ大学、同大学研究者とロシア人科学者との共同研究で、合成 ダイアモンド育成に成功。 □色:イエロー、ブラウン、グリーン、無色 □数:230以上を製造 □最大の結晶は1.6ct  *この実験に用いた装置を用いれば、理論的には5ctsの結晶までは製   造可能であるという。 同大は、この研究成果は「次世代の電子産業におけるシリコン技術に応 用できる」としているが、同研究グループの基金はある民間企業の援助 を受けている。この企業は、合成ダイアモンドを"カルチャード ダイ アモンド"(養殖真珠は英語で"カルチャード パール")として宝飾用 に販売を計画しているだけに、研究成果が宝飾用にも用いられるのは間 違いなさそうだ。 http://www.napa.ufl.edu/99news/diamonds.htm ◆4.お知らせ:キーワードサーチ機能を追加 ∽∝∽∝∝∽∽∝∽∝∽ もう一ヶ月程に成りますが、[宝石・鉱物小事典]内コンテンツのキーワ ード検索が可能に成りました。 ■AND、またはOR検索が可能です(単語間は半角空けて下さい)。 ■日本語、英語(半角のみ。全角には対応していません)での検索が可  能です。 ■検索スピードを考慮し、全文検索にはしていません。事前に作成した  キーワードだけで検索します。 ■検索機能は、将来トップページに持たせるかも知れません。その際に  は下記URLを無効にしますので、トップページからご検索下さい。 http://www.yk.rim.or.jp/~ofukumot/cgi-bin/search.cgi …………………………………………………………………………………… ■ご意見、ご感想、ご質問などお待ちしています!  宛先 ofukumot@yk.rim.or.jp  ご意見などは、極力紙面に反映させます。  ご連絡いただいた内容は、特におことわりを頂かない限り、当誌上で  編集の上、お名前(あるいはニックネーム)と共に紹介させていただ  く場合がございます。 …………………………………………………………………………………… ■[宝石学の世界] 創刊号 1999/10/07 ■Web site  http://www.yk.rim.or.jp/~ofukumot/ ■配信システム:『まぐまぐ』 ( http://www.mag2.com/ ) ■まぐまぐID:0000017866 ■発行人:福本 修 ■(C)Copyright 1999 by Osamu FUKUMOTO. All Rights Reserved. ■記事を許可なく転載することを禁じます。 ……………………………………………………………………………………