[宝石学の世界]--Vol.254-20060323 1. Readers Exchange - 多色性 - 2. ジュエリー関連の新刊図書情報 ====PR:真珠の輝きは、2つとして同じもののない偶然の奇跡================== 若き日のマリー・アントワネットの首を彩る美しい二連の真珠のネックレス。 オーストリアの名門ハプスブルグ家に生まれ、後にフランス王妃となった アントワネット。おしゃれが大好きで、当時のファッションリーダーでもあった 彼女のネックレスは、貴婦人たちの羨望の的でした。 それもそのはず、今でこそ真珠は一般に広く出回っていますが、養殖技術の発達して いない当時、真珠といえば天然の真珠、貝が偶然に生み出す奇跡、誰もが得られるも のではなかったのです。中世のヨーロッパでは貴人の特権、身を飾る以上に富と権力 の象徴でもありました。 神の贈り物ともいえる希少な宝物に、当時の王侯、貴族は 憧れをかきたてられたのです。 現代、私達の身近にある真珠のほとんどは調色が施されたものです。調色とは真珠 本来の色をより効果的に引き出すため、真珠に淡いローズ色を加味することを言い、 一般的な処理として広く容認されています。技術の進歩によって品質が均一化され、 手軽に楽しめるようになったというわけですが、では、かつて中世であれほど希求さ れた真珠はどこへ行ったのでしょうか? 中世の真珠は全て無調色になりますが、現代にも無調色真珠はあります。希少ですが 巻きが厚く高品質のため調色を一切必要としない、天然の色調そのものの真珠です。 生物が生み出す、2つとして同じもののない無調色真珠。 その引き込まれるような 深みと光沢、何度見ても見飽きることのない美しさ。 当時の貴族たちもその神秘の 輝きに魅せられたのかもしれません。 希少な無調色真珠と皆様とのそんな出会いをコーディネート致します。 ▼(株)アイダ朝香真珠の無調色真珠ハートブローチ: 6,800円(税込) http://www.yumenosizuku.com/shop/heart.shtml ☆∽∝∽∽★∝∽∽∝∽∝☆∝∽∽∽∝∽∝∽∝☆∝∽∽∽∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽☆ 1.Readers Exchange - 多色性 - ∽∽∽∽∝∽∝∽∝∽∽∽∽∝∽∝∽∝∽∽∽∽∽ 前号(※)掲載の“多色性”(※2)の読み方について読者の方々からお寄せ頂いた コメントを紹介します。 (※)前号 http://www.gem-land.com/melma/253.txt (※2)多色性 http://www.yk.rim.or.jp/~ofukumot/gem_encyclopedia/ha/pleochroism.html ▼ [はる]さん からのコメントここから 私も「たしょくせい」と読んでいたのでビックリしました。念のためと思って パソコンに入っている広辞苑で調べました。広辞苑では多色性を「たしょくせい」 とふりがなをふっていて、「たしきせい」の読み方は載ってませんでした。 どっちが正しいんでしょ? −−− なるほど。私も手元の広辞苑(第四版。システムソフト電子辞典)で確認しましたが おっしゃる通りです。ということは、日本語の読みとして“たしょくせい”は誤りで はないと考えられますね。地学事典(平凡社)に“たしきせい”としか読みが無かっ た衝撃で、広辞苑を引くのを抜かりました。学術的には“たしきせい”が正しいとい う事でしょうか。因みに、大辞泉(小学館)には両方とも収録されていました。福本 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ▼ 『宝石学の世界』の一愛読者 さん からのコメントここから 編者が、多色性を「たしきせい」と読むと確認して、すなわち素直に改められたのは 驚愕というか尊敬すべきことですね。 実は私も業界の端くれですが、このことで鑑別機関団体の上部の方に確認したことが あります。印象は大慌てでした。でも、名だたる宝石学の先生も日本ジュエリー協会 が発行しているテキストも「たしょくせい」と読ませているのですから、今更改めに くいし、またあくまで「たしょくせい」が正しいとしているようです。 地学、鉱物学の勉強では、多色性を「たしょくせい」と誤って読むと、厳しく指摘さ れ、またこれは誤読される有名な例であるとも言われているようです。 偉そうなことを言える立場ではありませんが、宝石の世界の方々は、その殻に閉じこ もってしまい、宝石は鉱物のほんの一分野であるということを忘れているような気が します。 過ちを改めるにはばかる事なかれの、故事のように勇気を持って正しく改めることが 業界にも消費者にもよいことだと思います。他色性(※3)とも混同しないためにも。 −−− 発行者注:(※3)他色性 ある鉱物が、その鉱物必須の化学組成によって発色する場合、その性質を「自色性」 と言います。「他色性」とは、その鉱物に必須ではない化学成分、つまり不純物に よって発色する性質を指します。            −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ▼ [かっぱ]さん からのコメントここから  多色性についての記事、大変驚きました!私もたしょくせいと読んでいたもので.. 記事を読まなければきっといつか誰かに「読み方まちがっていない?」と正されて、 恥ずかしい思いをしていたかもしれません(^^)  確かに、現在使われている外来語なんかには、いつの間にか色んな発音や意味が ごちゃ混ぜになっているものも多いですね。  そういえば私も、とある医療系ドラマで酸素飽和度(血中酸素濃度のことではない かと思うんですが)のことを毎回「酸素フォワード」と発音しているので、「酸素 forwardって何だろう?意味がよくわからない・・」なんて思ったこともありました。    今回久しぶりにお便りをさせていただいたのは、質問ではなく福本さんにお礼が 言いたかったからなんです。  以前ピンクオパールなどについてお伺いした際に、丁寧にお教えいただいた石に 関しての知識は大変仕事にも役に立ちました。丁度二年前ですが、自分は彫金の学校 にも、デザインの学校にも行った経験が無いにも関わらず、ただ情熱と才能を見込ん でいただいてアクセサリーの製作をさせてもらうことになり、八方ふさがりに感じて いた時期にこのサイトに出会いました。いくら辞典を開いても分からなかった、深い 部分での疑問の答えがこのサイトにはありました。この二年間私のような者がきちん と仕事をこなせてきたのも、福本さんからいただいた知識がしっかり根付いていたか らだと思います。  ジュエリーを作っていく際に、石と言うのはデザインの主役になるとても大切な部 分であり、それがどういう性質なのか、どんな特徴を持ち、どのように扱うべきなの か、それをしっかり学ぶことで、本当に良質な商品を作れるデザイナーとしてプロの 仕事ができるんだと実感し、必死に学んできて本当によかったと思います。実は今い る会社を今月で辞めることになったのですが、別の会社のデザイナーの方から、共に 仕事をやっていかないかと誘われました。石の知識においても信用の置ける存在であ るからと。あまりに嬉しくて、福本さんにもお礼が言いたかったんです!    福本さんとはお会いしたことも無いですし、私は数多くの購読者の一人ですが、 福本さんの活動は多くの宝飾デザイン関係者に貢献していると思います。知識は本当 に宝物ですし、福本さんの持つ宝物をこれからも人々に伝え続けていってください! 私も福本さんから学んだ知識を、しっかりと伝えていけたらいいと願っています。 心から感謝しております。  今後もいろいろ質問することがあるとは思いますが、どうぞよろしくおねがいしま す!   −−− 過分な言葉をいただき恐縮です。新しい環境でのお仕事、益々のご成功を心よりお祈 りしております。 福本 ====PR:================================================================== >> 日本ジュエリーアカデミーにて無料でジュエリー制作が勉強できるチャンス! 〆切は26日。彫金科・ワックス科・宝石研磨科から最大48回のレッスンが無料 http://www.gem-land.com/present/ ============================================================================ ☆∽∝∽∽★∝∽∽∝∽∝☆∝∽∽∽∝∽∝∽∝☆∝∽∽∽∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽☆ 2. ジュエリー関連の新刊図書情報 ∽∽∽∽∝∽∝∽∝∽∽∽∽∝∽∝∽∝∽∽∽∽ ●アンティークボタンの世界 萩塚治子(エテルニテアンティーク主宰)著 柏書店松原刊 ISBN4-87790-066-7 A5判 128頁 オールカラー 定価2,940円税込 ☆見どころ: 古来より衣服の付属品という目立たない脇役でしかなかった「ボタン」 が、時を経て今日素晴しい主役級の工芸品として見直されている。その古き良き装飾 ボタンの中から特に“ジュエリーよりもジュエリーらしいボタン“に的を絞り、時系 列に集大成した。装飾ボタン黄金時代の19世紀イギリス・フランスのオリジナル ボタンを中心に、古代エトルリアから我が誇るべき薩摩ボタン・江戸彫金ボタンまで −−その数503種類の“ボタン・ワンダーランド”である。ボタンは衣服の必需品 だけに、特にそのアンティークものは全女性の関心の高いアイテムと言える。女性市 場を標的とするジュエリー界も、本書活用にビジネス(集客)のヒントがありそうだ。 ▼ご購入はこちらから(検索番号: button) http://www.gem-land.com/kashiwa-books/ ☆∽∝∽∽★∝∽∽∝∽∝☆∝∽∽∽∝∽∝∽∝☆∝∽∽∽∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽☆ ※敬称を省略しました。 宝石に関するご質問や弊紙に対するご希望などをお寄せ下さい。 http://www.yk.rim.or.jp/~ofukumot/otayori.html ※画像をお送り頂いても宝石鑑別はできませんのでご遠慮下さい。 ■まぐまぐID:0000017866 (一部の読者にはまぐまぐ様を経由せずに配信) ■受信アドレスの変更:旧アドレスは[購読解除]ページよりキャンセルをして頂き、  新アドレスをホームページより新規申込みとしてご入力下さい。 ■購読解除   ■発行人:福本 修 ■(C)Copyright 2006 by Osamu FUKUMOTO. All Rights Reserved. ■記事を許可なく転載することを禁じます。