▼ INDEX 1.アクアマリン一口メモ 2.宝石学Q&A−アクアマリンに対する処理−   宝石学Q&A−スローカムストーン ガラスについて−  3.Picked up News 4.発信システム変更のお知らせ …………………………………………………………………………………… ◆1.アクアマリン一口メモ ∽∝∽∝∝∝∽∝∝∽∝∽∝∽∝∽∝∽∝ 青空を思わせる淡い青色の宝石、アクアマリンの語源は[海水]です。 aqua=水   marina=海   (ラテン語) 緑柱石(ベリル)という宝石があります。この内、濃い緑色のものがご 存じのエメラルドであり、淡い青色ベリルをアクアマリンと呼びます。 両者の色は、含まれる微量元素の違いに因ります(アクアマリンは鉄、 エメラルドはクロムが主)。 エメラルドと異なりアクアマリンは、大きな、またインクルージョンの ごく少ない結晶も相対的に多く発見されます(1910年には110kgもある透 明な原石が発見されているほどです。これはドイツ、イーダーオーバー シュタインのバイヤーが当時のお金で$25,000で購入しました)。 組成:Be3Al2(SiO3)6 結晶系:六方晶系 ☆∽∝∽★∝∽∝∽∝☆∝∽∝∽∝∽∝☆∝∽∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽☆ ◆2.宝石学Q&A ∽∝∝∝∝∽∝∽∝∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽∝∽∝∝ Q:京都市在住の宝飾品加工職人様。キャリア35年。   e-mail:kazuo99a@apricot.ocn.ne.jp(ご本人承諾の上掲載) ◇アクアマリンに関する質問 現在は受注の手作り加工をしています。質問です。 ■染色について 現在、流通しているアクアマリンは染色「着色」加工されたものなので しょうか。 20キャラ程度の大きな石でも色ムラがなく、美しい色合いが均質に保た れています。どの石も同じようなアクア色です。染色加工されていると 解釈した方が良いかと思っていますが・・・・・。 20年ほど前にアクアの色が抜けて透明石になってしまって困ったこと があるのですが、それも染色が原因なのでしょうか。 A: アクアマリンの色は、熱処理(250〜500℃。鉱山によっては700℃)に 因る場合がほとんどです。アクアマリンの原石は、普通黄色味あるいは 緑味を帯びたブルーですが、熱により黄色味を除去し、あのアクアマリ ンの色目にしております。 染色処理が施された透明な結晶は、石を光に透かして見ると石全体に染 色に因る色だまりが観察できますので、肉眼で検知できます。これは、 透明結晶には染料が染み込んでゆかない為(*1)、熱し、急速に冷やすこ とでつくられたヒビの中に染料が入り込んでいるためです。 (*1)青の絵の具を水に溶いた中にガラスを入れても染まりませんが、 スポンジや紙なら染めることが出来るのと同じです。アクアマリンは そのままでは染めることが出来ませんが、カルセドニーや翡翠の様に、 多くの結晶が集まって形作られている物質ならばヒビを作らなくても染 色できます。 Q: ■性質変性について 染色することによって、アクアの特性が変化するということはあるので しょうか。最近のアクアはやたら柔らかい感じです。サンゴは鉱物でな いのに鉱物の感じがしますが、アクアは鉱物でありながら鉱物の感じが しにくいものです。ヤスリの背で簡単にキズが入ってしまうことがあり、 そのキズの入り具合がコハクと似たような感じさえします。20・30 年前のアクアとは違う石のような気がします。もちろん、これは私の錯 覚かもしれません。 A: 報告はございませんが、35年間のご経験に基づいたご意見です。これは 事実であろうと思います。 結晶の構造は、熱、圧力、除冷条件によって変化し、この変化は靱性に 影響を与えます。したがって、熱処理により特性が変化する事は、あり 得ます。 アクアマリンに対する熱処理は、30年前にも行われていました。当時は お感じにならなかった「柔らかい感じ」を最近は感じるということは、 次のような事が推測できると思います。 *近年、従来とは異なった熱処理方法が多く用いられる様になった。 *この処理法はアクアマリンの耐久性に影響を与える。 *従来との相違点には、恐らくより早い除冷速度が含まれる。 Q: ■キズの修正および研磨について カラット数が変わってしまうほどの大きなキズの場合は研磨会社に リカットを依頼しますが、ごく微細なキズを取り、磨きなおすためには どのようにしたらよろしいでしょうか。研磨機がなく、手でやるしかな いという条件下でです。私はペーパーを荒目から順に変えてキズを取り ましたが、磨きはどうしてもうまくいかず、石の表面が曇ったままでし た。漆や象牙などの場合の磨き出しの方法ではうまくいかないのではな いかとも思って試していません。 A: 申し訳ございませんが、宝石研磨に関する知識、資料共に乏しく、この 件にはお役に立てません。読者の方の中に、その方面の知識をお持ちの 方がおられましたらご教示下さい。 …………………………………………………………………………………… Q:Migiyaさん ◇スローカムストーンについて 私、パワーストーンに興味があり、最近勾玉(まがだま)の「ホワイト オパール」を購入しました。いろいろ調べているうちに、わたしが購入 したまがだまは、本当にオパールなのか? と思うようになりました。 スローカムストーンガラスではないかと思われるのですが、私でもでき る確認方法があれば、教えてください。 A: オパールの勾玉は珍しいですね! 私も欲しくなりました。 スローカムストーン ガラスか否かの確認法ですが、本日スローカムス トーンを鑑別する際に役立つページを、写真と共に公開しました。ご判 断の一助となれば幸いです。「ここ数日間の更新項目」よりリンクして います。 http://www.yk.rim.or.jp/~ofukumot/ ☆∽∝∽★∝∽∝∽∝☆∝∽∝∽∝∽∝☆∝∽∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽☆ ◆3.Picked up News ∽∝∽∝∽∝∽∝∽∝∽∝∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽ 山梨県ジュエリー協会、「フレッシュマン・ジュエリー・デザイン・ コンテスト2000」を実施。締め切り11月30日。応募資格は学生、または アマチュアであること。 Tel:055-232-7571 ☆∽∝∽★∝∽∝∽∝☆∝∽∝∽∝∽∝☆∝∽∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽☆ ◆4.発信システム変更のお知らせ ∽∝∽∝∝∝∽∝∝∽∝∽∝∽∝∽ 10月1日に発刊した本誌も、現在およそ1,500人の方々お読みいただいて おります。これは発行者の予想を超えたものであり、折々に読者の方か ら頂く励ましの声やご質問同様、大変ありがたく思っております。 さて、現在配信総数の内、1200余りはまぐまぐ(www.mag2.com)の配信シ ステムを利用しており、それ以外が直送版ですが、この度配信をまぐま ぐに一本化させて頂きたく、ご連絡申し上げます。 配信システムが変わることで生じる変化は、発信者が「mag2」となる事 まぐまぐの発行する新着メールマガジンを紹介する[WeeklyMag](無料) が届くようになること、及び[宝石学の世界]の配信停止、受信アドレス の変更の連絡先が変わることです。 ◇「WeeklyMag」購読を中止受付 http://www.mag2.com/misc/wmag2reg.htm ◇配信システム変更後の配信停止受付 http://www.yk.rim.or.jp/~ofukumot/mag_cancel.html ◇配信システム変更後の受信アドレス変更受付 mag2info@tegami.com 変更時期は今月後半を予定しております。 尚、現状通り直送版で無ければ困る、という方にはその様に致しますの で、恐縮ですが直送版でなければならない理由をお書き添えの上11/20 までに私宛にご連絡下さい。 今後とも宜しくお願い申し上げます。 …………………………………………………………………………………… ■ご意見、ご感想、ご質問などお待ちしています!  宛先 ofukumot@yk.rim.or.jp  ご意見などは、極力紙面に反映させます。  ご連絡いただいた内容は、特におことわりを頂かない限り、当誌上で  編集の上、お名前(あるいはニックネーム)と共に紹介させていただ  く場合がございます。 …………………………………………………………………………………… ■[宝石学の世界] 5号 1999/11/09 ■Web site http://www.yk.rim.or.jp/~ofukumot/ ■購読の解除:[宝石学の世界]購読解除とご記入いただき  ofukumot@yk.rim.or.jpまでご連絡下さい。 ■配信アドレスの変更:[宝石学の世界]配信アドレスの変更と題名とし  て、本文に旧アドレスと新アドレスをおご記入いただき  ofukumot@yk.rim.or.jpまでご連絡下さい。 ■発行人:福本 修 ■(C)Copyright 1999 by Osamu FUKUMOTO. All Rights Reserved. ■記事を許可なく転載することを禁じます。 ……………………………………………………………………………………