▼ INDEX 1. GASSAN DIAMONDS 2. ダイアモンド/グレード表現のいろいろ 3. 火山と日本 4. リーダース エクスチェンジ(読者から読者への質問) 5. 第4回宝石・鉱物クイズ公開 …………………………………………………………………………………… ----広告-------------------------------------------------------------------- ★宝飾業界イエローページ登録受付中《《《《《《《《《《《《《《《《《《《《《 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ジェム−ランド━━━◆◇ http://www.gem-land.com/yellow_page/ ---------------------------------------------------------------------------- ◆1. GASSAN DIAMONDS ∝∝∝∝∝∝∽∝∝∝∝∝∝∽∝∝∝∝∝∝∽ *押し掛け特派員、私こと[たぬたぬ]が、宝石好きの素人として見たり 感じたヨーロッパをお伝えしている読み切り短期連載の第2回目です。 - - - アムステルダムにある名門ダイアモンドジュエリーメーカー、ガッサン ダイアモンズの工場見学に行きました。そちらの様子をご報告します。 私は素人ですから、一般の観光客がいけるところです。 テレビコマーシャルの影響でしょうか?いつのまにやら「ベルギーダイ ヤモンド」という言葉を知っていました。だからダイヤモンドの本場は ベルギーだと思っていたのですが、ガッサンダイアモンズをはじめ、い くつかの研磨工場を訪ねてお話を伺ったところ、当地の人は、アムステ ルダム(オランダ)こそ本家であるという思いでいらっしゃる事を知り ました。 さて、GASSANについてです。まず、少々ガイドブックの言葉を借りてご 説明します。 - - - 「名門一族により代々受け継がれてきた GASSAN DIAMONDS は、アム ステルダムの中心、元々は蒸気動力操業が行われていた歴史ある工場建 築物内にあります。ここの26のショールームでは、ダイヤを御覧にな り実際に身につけ試して頂いた上でお買い求めになれます。またガッサ ンダイヤモンズには独自のジュエリーワークショップがあり、宝石を美 しくデザインし速やかに細工調整しています。駐車場やボート停泊所、 無料コーヒーショップ等の設備も整え、GASSAN DIAMONDS の日本人ス タッフが心より皆様のお越しをお待ち申し上げております。 尚、アフ ターサービスはガッサン東京事務所が受け賜っておりますので御安心下 さい。」 - 引用「Holland」(オランダ政府観光局発行) - - - - この中でも「ボート停泊所」といっている通り、2方を運河に囲まれた この工場は、ある角度からみれば湖の中に浮かんでいるようにも見えま す。非常に堂々とした建物です。工場というより美術館か大学の図書館 といった感じです。まず、重い扉を押して中に入りました。直ぐ受け付 けがあり、人数と国籍を英語で聞かれました。私たちのグループは、近 くに住む妹夫婦と合流しているので3人です。国籍は日本と答えたから でしょう、日本人スタッフがいつもまにやら現われて、工場の中へ案内 してくれました。外観と同じように、内部もおよそ工場らしくなく(私 は職人さんが何十人も立ち働いている姿を想像していたのです)、清潔 なオフィスのようです。 まずは展示室兼研摩工場へ。ダイヤモンドの研摩過程をガラスの模型を 使いながら、研摩行程には6段階あること、艶を出すにはダイヤモンド の粉とオリーブオイルを混ぜたものを使用すること、研摩職人さんが使 うルーペは10倍であること、研摩に使う回転台は3600rpmであること、 熟練の職人になるには6年から8年かかること、ダイヤモンドの原産国 は南アフリカ、オーストラリア、旧ソ連、南アメリカで、この工場では、 これら様々な場所からとれるダイヤモンドを研摩していること、651 カラット余りある「スターオブアムステルダム」というダイヤモンドが ここで研摩されたこと、という説明を聞きました。そして写真を撮る間 もないほどに急がされて、長い廊下を歩いて行きました。案内の女性は せっかちさんみたいです。ズンズンズンズン早足で進んで行きます。そ の途中にダイヤモンド鑑定室があり、独立した機関であることの説明を 受けました。そこには自動的にカラット、カラーを測定する機械と、人 間の目によって内容物を調べる顕微鏡が並んでいました。その後通され た部屋には、もう1人、別の日本人の方がいらっしゃり、私達のグルー プだけとの個人面談の様な形で説明が始まりました。まずは、ダイヤモ ンドのグレード付けの方法から(*)。カラット。 もちろんこの数値が大 きい程値段は高くなります。次にカラー。RIVER(川の水のように澄んで いる意味),TOP WESSELTON, TOP CRYSTAL, CRYSTAL, TOP CAPE, CAPE, YELLOWという等級があるとのこと。無色に近い程値段が高いそうです。 クラリティー。内包物が少ないほど値段が高くなります。PERFECT, V.V.S., V.S., S.I.1, S.I.2, PIQUE1, PIQUE2, PIQUE3 となっていま す。カット。ブリリアントカットは57面体で最も光を多く取り入れ美 しく輝くとのこと。その後は実際に研摩後の裸石を見せてくれました。 まずは一番グレードの高いもの。だんだんに質を落とし購入可能な金額 にもって行きます。その後宝飾品がでてきましした。14金でホワイト 及びイエローゴールドが多く、プラチナは少なかったです。裸石と枠を 組み合わせてこの工場内で加工(無料)をし、その日の内にホテルまで 届けてくれるサービスもおこなっているとのことです。まあ、私にはダ イヤモンドを見分けるだけの目がありませんから、手が届きそうな値段 のものもありましたが、やめておきました。出口までの途中にもやはり 研摩する場所があり、そこでも写真を撮って帰りました。 以上がダイヤモンドカッティング工場でのできごとです。他にも何件か このアムステルダムには研摩工場兼販売所がありますが、どこも似たり 寄ったりでした。もっと「工場」をイメージしていた私には物足りなさ が残りましたが、何キャラットもあるダイヤモンドをいくつも手のひら に載せることが来たので、非日常的な経験を楽しむことが出来ました。 次回はドイツに場所を移し、アンティークショップを巡る予定です。 [by たぬたぬ at オランダ mailto:tanutanu@gem-land.com] (*)発行者注:日本との表現方法の違いは[2.]で説明します。 ☆∽∝∽★∝∽∝∽∝☆∝∽∝∽∝∽∝☆∝∽∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽☆ ◆2. ダイアモンド/グレード表現のいろいろ ∽∽∝∽∽∽∝∽∽∽∝ グレードとは等級のこと。ダイアモンドのグレードはその善し悪しを判 断する尺度と言えなくもないが、少々微妙なところ。その説明は今回の 本題からは外れるので、次回以降に譲る。ともかく、ダイアモンドのグ レードは、ご存じの方も多い通り、Carat Weight(石の重量)、Clarity (割れ、欠け、内包物等の目立ち方)、Color(色)、Cut(カット)の、 いわゆる4C(フォーシー)に因る。 世界には、いくつかの、本流といえる4Cの表現方法がある。これは長 さを表現するのにメートルやフィートを用いる方法があるのと同じで、 どれが良いとは言えない。  日本ではGIA方式と呼ばれるものが広く普及している。 これ以外を用い ている日本のラボ(ダイアモンドのグレーディングや宝石鑑別を行う機 関)を私は知らないし、ダイアモンド大消費国であるアメリカと日本が 採用していることもあり、ヨーロッパ以外の国々での業界標準である。 GIA (Gemological Institute of America)はアメリカ、カリフォルニア 州に本部を置くNPO (非営利団体)で、州政府からの補助金ももらい、 宝石学の教育、研究を行っている。 傘下にGTLというダイアモンド グ レーディング及び宝石鑑別等を行う部門を持ち、 [GIAの鑑定書付き]と 呼ばれて販売されているダイアモンドは、GTLの発行したグレーディング レポートが添付されているという意味である。 日本のラボでダイアモンドのグレーディングに従事している方々の多く は、GIAや日本に於けるGIA教育の実践者であるGIA JAPANの卒業生である。 それ以外の教育機関でグレーディング技術を学んだり、あるいは実践で 身につけた方もおられるが、 GIA方式に則ってグレーディングを行って いる事には変わりがなく、日本にある全てのラボは、 GTLのグレードを 忠実に再現しようとしているものと言ってよい。この事は、宝石鑑別団 体協議会(AGL)加盟のラボが、 カラーを判断する際の基準となる比較用 の原器 (カラーマスター)に、GTLから取り寄せ、日本ジュエリー協会の 担当委員会から配布されたものを用いている事からも伺える。余談なが ら、アメリカに於けるダイアモンドグレーディングのラボは売り手市場 である。 GIA(実際にはGTL)以外に名の知れたラボといえばEGLの他私 は思い浮かばず、グレーディングレポートの発行を希望する顧客は、GI Aから 「大きなダイアモンド以外は受け付けません(大きさのリミット は東海岸と西海岸の支部によって違う)」などといわれながら、そして 返却までの長い日数に不満を持ちながらダイアモンドを預けている。こ の様な状況は、第三者としての公正なグレーディングを可能とする土壌 になっている。翻ってみるに日本のラボはどうであろう? 0.2ctのダイ アモンドにもグレーディングレポート(及び/又はソーティング:これは グレーディングの結果を簡潔に記すサービス)を求める取扱者の声が多 くのラボを生み、多すぎると私には思えるラボの間では競争が生まれる。 競争が激しければライバルのラボを制してグレーディングの依頼を得る ためにはサービスで勝負するしかない。サービスとは何か?返却までの 時間、料金は勿論だろう。そしてこれは、最も弱い立場である現場のグ レーダーの労働条件を厳しくすることで生み出される。それ以外にサー ビスしようと思えば、いわゆる「甘いグレード」が選択肢にのぼるであ ろう。無論、多くはラボは良心的で、モラルに従っている。しかし、何 処の世界にも不心得者が居り、常にこのような不心得者が全体の評価を おとしめる。話がだいぶ横道にそれた。なぜ、同じダイアモンドの大消 費国である日本とアメリカでこの様な違いが生じるに至ったかについて は私なりの定見はあるが、どんどん今回の本題から外れていくので次号 以降に譲る。 上記のような事情により、 日本の宝飾店で示されるグレーディングレ ポート(グレードを記した書類)は全てGIA方式に基づいている。し たがって、「たぬたぬさんのレポート」(どうもしっくりこない名称で すが^^; )にあるヨーロッパ風の表現には馴染みが薄いと思われるの で、下にクラリティとカラーの対応表を示す。 ■カラー GIA方式 = GASSAN DIAMONDS D, E, F = River G = Top Wesselton H = Wesselton I = Top Crystal J = Crystal K, L = Top Cape M = Cape ■クラリティ GIA方式 = GASSAN DIAMONDS Fl, IF = Perfect VVS1, VVS2 = V.V.S. VS1, VS2 = V.S. SI1 = S.I.1 SI2 = S.I.2 I1 = Pique 1 I2 = Pique 2 I3 = Pique 3 --- ◎グレーディングレポートやグレーディング機関に関するご意見をお待  ちしています。(私はグレーディング機関関係者ではありませんので  御遠慮なく)mailto:ofukumot@yk.rim.or.jp ☆∽∝∽★∝∽∝∽∝☆∝∽∝∽∝∽∝☆∝∽∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽☆ ◆3. 火山と日本 ∽∽∝∽∽∽∝∽∽∽∝∽∽∝∽∽∽∝∽∽∽∝∽∽ 有珠山の火山活動が活発だ。幸い早期の避難勧告により人的被害がほと んど無いのは喜ばしい。宝石学と火山は直接的な関係は薄いが、ほとん どの宝石が地球のダイナミズムの産物であることを思えば、無縁ではな い。また火山性のガラス、オブシディアンの様に、直接火山から生み出 される宝石もある。そこで、簡単に、火山と日本について記す。 「日本には火山が多い」という認識を持っておられる方は多いと思う。 では、いったい活火山は日本にいくつあるのか?正解は86(北方領土 も含める)。世界全体でも800ほどしかないのだから、「日本は火山 が多い」を通り越して、「日本には世界中の火山が集中している」とさ えいってもいいのではないかと感じる。 ところで、活火山とは何か。現在では、過去2000年位の間に活動したと 推定される火山を指す。私は子供の頃休火山という用語を習ったけれど、 現在「休火山」という分類はなく、旧休火山は全て現在の「活火山」に 数えられている。そもそも休火山とは「休んでいる火山」の名が示す通 り過去に活動していた記録があるが、現在ではその兆候がない火山を指 したが、地域によって記録の古さに1000年近くの差(万葉集に登場する 富士山のようにその活動の様子が古くから知られているものから、17 世紀より記録が登場する地域まで)がある以上、休火山の分類はあまり 科学的でないというのが分類として無くなった理由。 有珠山の活発な活動は長期に及びそうですが、一刻も早く退避されてい る方々が、正常な日常を営めるようになることを願っています。 ☆∽∝∽★∝∽∝∽∝☆∝∽∝∽∝∽∝☆∝∽∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽☆ ◆4. リーダース エクスチェンジ(読者から読者への質問) ∽∽∝∽ 私の知らない事を読者の方に聞かれた場合、それを別の読者の方に助け てもらおうという調子のいいコーナーです^^; ご質問: 知り合いの人からシンプル研磨機をいただいたので、いろいろカットを したいと思うのですが,原石を販売しているところを教えてください。 mailto:makko@livedoor.com(ご本人に確認の上掲載) 発行者補足:makkoさんは、現在宝石研磨の勉強中だそうです。 お心当たりの方は、ご本人まで、または私までご連絡下さい。お待ちし ております。mailto:ofukumot@yk.rim.or.jp ☆∽∝∽★∝∽∝∽∝☆∝∽∝∽∝∽∝☆∝∽∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽☆ ◆5. 第4回宝石・鉱物クイズ公開 ∽∽∝∽∽∽∝∽∽∽∝∽∽∝∽∽ リクエストの多かった[宝石・鉱物クイズ]をやっと更新しました。 今回は、全問ダイアモンドに関する問題にしました。 その場で採点でき、正解も示されます。 ▼最近の更新項目より http://www.yk.rim.or.jp/~ofukumot/ ☆∽∝∽★∝∽∝∽∝☆∝∽∝∽∝∽∝☆∝∽∽∝∽∝∝∽∝∽∝∽☆ ∝∝∝∝∝∝∽∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝∽∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝ …………………………………………………………………………………… ■ご意見、ご感想、ご質問などお待ちしています!  宛先: 福本 修 mailto:ofukumot@yk.rim.or.jp  ご意見などは、極力紙面に反映させます。  ご連絡いただいた内容は、特におことわりを頂かない限り、弊誌上で  編集の上紹介させていただく場合がございます。お名前、mailアドレ  スは、特にご希望が無い限り掲載しませんが、お名前を添えてのご連  絡を希望いたします。名前を名乗らずコミュニケーションを図るのは  奇異な気がするのです。ニックネームも合わせてお書きいただいた場  合には、そちらは掲載いたします。 …………………………………………………………………………………… ■[宝石学の世界] 25号 2000/04/04 ■Web site  http://www.yk.rim.or.jp/~ofukumot/ ■配信システム:『まぐまぐ』 ( http://www.mag2.com/ ) ■まぐまぐID:0000017866 ■受信アドレスの変更:旧アドレスは[購読解除]ページよりキャンセル  をしていただき、新アドレスをホームページより新規申し込みとして  ご入力下さい。 ■購読解除  http://www.yk.rim.or.jp/~ofukumot/mag_cancel.html ■発行人:福本 修  mailto:ofukumot@yk.rim.or.jp ■(C)Copyright 2000 by Osamu FUKUMOTO. 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