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1. 宝石学 Q&A - ピンク オパール? -
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◆ 1. 宝石学 Q&A - ピンク オパール? - ∝∽∝∽∝∽∝∽∝∝∽
Q:
私は宝石のデザイン、製作などをしております。
最近ジュエリーも使われる石が多様化していて知らない名前の石も多い
ことから鉱物に大変興味が出てきまして、このサイトを時々拝見してい
ます。
名前の聞いたことのない石でも素敵な色や雰囲気をもった石がたくさん
あるので最低限自分が加工して商品にする石くらいはちゃんと勉強しよ
うと思っているこの頃です。
ところで石についての質問なのですが、先月ピンクオパールを購入しま
したが、ネットで検索したところこれはピンクオパールと呼ばれてはい
るが実際にはパリゴルスカイトという別の鉱物だと書いてありました。
(私の持っている鉱物の本にはでていませんでした)
これが事実でしたらなぜ他の鉱物をオパールと呼ぶのだかご存知でした
ら教えていただけますか?
それともオパールにピンクという色が存在するのでしょうか?
例えば何かの商品を作って売る場合にピンクオパールだと謳えば買われ
る方はオパールという鉱物だと思って購入なさると思うのですが、それ
ともこれは通り名のようなもので実際と名前が違うということが業界で
はよくあることなのでしょうか?
こういうことがよくあることならば石の性質を見誤って石をダメにして
しまうこともありそうでちょっと怖いです。
A:
パリゴルスカイト(palygorskite)は、アタパルジャイト(attapulgite)
とも呼ばれる鉱物ですが、その組成(成分)がオパールと似ることから
混同されたのではないかと思います。
パリゴルスカイトの組成:Mg5Si8O20(OH)2(OH2)4・4H2O
オパールの組成 :SiO2・nH2O
水分が多いのが特徴で、脱水に対する注意が必要でしょう。
--
ご指摘の通り、ある宝石を販売する際、その宝石とは別の、しかし外観
は似た、より高価な宝石の名を用いている例は多くございます。これら
を誤称や流通名と呼んでいます。次のような例があります。()の中が
実際の宝石名です。
●アフリカン ジェイド/アフリカ翡翠(ハイドログロシュラー ガーネット)
http://www.yk.rim.or.jp/~ofukumot/gem_encyclopedia/ha/hydrogrossular.html
●コリアン ジェイド(サーペンティン)
http://www.yk.rim.or.jp/~ofukumot/gem_encyclopedia/sa/serpentine.html
●シトリン トパーズ(シトリン クオーツ)
http://www.yk.rim.or.jp/~ofukumot/gem_encyclopedia/sa/citrine.html
●ハーキマー ダイヤモンド(ロッククリスタル クオーツ)
http://www.yk.rim.or.jp/~ofukumot/gem_encyclopedia/ra_wa/rock_crystal.html
●バラス ルビー(レッド スピネル)
http://www.yk.rim.or.jp/~ofukumot/gem_encyclopedia/sa/spinel.html
●レインボー ムーンストーン(ラブラドライト)
http://www.yk.rim.or.jp/~ofukumot/gem_encyclopedia/ma/moonstone.html
など、数え上げれば100以上は容易に見つかるでしょう。
その他、処理石をそれとは感じさせない名で販売するケースもあります。
比較的最近の例では、レインボー トパーズがこれに当たるでしょう。
単にレインボー トパーズとして販売されている宝石を見れば、知らな
い方はレインボーという種類のトパーズかと思ってしまうかも知れませ
んが、実際には金属薄膜を蒸着したトパーズですから、バフ掛けなどで
薄膜が取れる可能性があります。
レインボー トパーズ
http://www.yk.rim.or.jp/~ofukumot/gem_encyclopedia/ra_wa/rainbow_topaz.html
また、実際の産地とは関わりなく、何処何処産として販売される宝石も
多くあり、これは特に業者間で一般的な慣習です。一例として、暗い色
をしたブルー サファイアを指す「オーストラリアン サファイア」を
挙げることができます。オーストラリアはブルー サファイアの有数の
産出国ですが、その多くは暗い色をしています。しかし、当地で産出さ
れる全てのサファイアが暗い色をしているわけではありません。また、
他の国から産するサファイアにも、暗い色のものはあります。世界で取
れる多くのサファイアはバンコクで処理、カットを経て集散しますが、
販売される際には実際の産地を問わず、 暗い色をしたサファイアは
「オーストラリアン」とされることが一般的です。これを取引グレード
などと呼んでいます。
上記はいずれも紛らわしい呼称であり、望ましいものではないと考えま
す。特にレインボー トパーズのごときを処理石であることを併記せず
に販売する事は、ある種の詐欺といっても良いのではないかとすら感じ
ます。誤称や流通名の中には歴史的経緯や最初の産地を示唆するものも
あり、そのような用語はある種の文化的な遺産として今後も存続した方
が良いと私は考えていますが、それでも、誤称・流通名と共に実際の宝
石名も併記することが必要だと感じております。とどのつまり、実直な
販売姿勢が自らの商売を繁栄させる要でしょうから。
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敬称を省略しました。
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■[宝石学の世界] 155号 2003/04/02
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